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法の支配 ほうのしはいrule of law

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

法の支配
ほうのしはい
rule of law

法至上主義的な思想,原則。どんな人でも通常裁判所が適用する法律以外のものに支配されない,あるいは,被治者のみでなく,統治者,統治諸機関も法の支配に服さなければならぬとする「法のもとにおける統治」の原理。イギリスの伝統に根ざす思想であり,自然法思想にも淵源をもつ,法の権力に対する優位性の主張である。 A.ダイシーは,その著『憲法入門』 (1885) のなかで,議会主権と法の支配がイギリスの二大法原理であるとしたが,ここから人間とその自由を権力から守るイギリス型法治主義の原則が確立され,アメリカにおいては司法権優越の原理を生んだ。 20世紀に入り,経済,社会情勢の著しい変化につれ,伝統的な法支配の原則に対するいろいろな批判も起っている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうのしはい【法の支配 rule of law】

法の支配は法治主義とは異なる。法治主義という言葉も人によって若干用法を異にしているが,基本的には,統治が議会の制定した法律によって行われなければならないとする原理であるといってよい。これに対して,法の支配は,統治される者だけでなく統治する者も〈法〉に従うべきであるということを意味する。そこでの〈法〉には,議会が制定した〈法律〉を超えた,自然法的な響きがこめられることになる。そのような〈法〉が,統治の各面を支配すべきだというのが,法の支配の精神の真髄なのである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

法の支配
ほうのしはい

「人でなく法が支配する」Non sub homine,sed sub lege.(ラテン語)という法原則。イギリス法においては、国王もまたコモン・ローの判例法体系に服すべきであるという原則として発達した。13世紀の法学者ブラクトンの「国王もまた神と法のもとにたつ」ということばは、17世紀にクックによって、王権との抗争の際に引用された。19世紀にダイシーは、私法と区別された公法体系を認める大陸法に対し、すべてがコモン・ローのもとにたつイギリス法の体系を、法の支配の原理として賛美した。しかしイギリスにおいては、「議会は男を女に変える以外のことはなんでもできる」といわれる議会主権主義で、コモン・ローの判例法体系も、議会の法律の下にたっている。議会の立法を、憲法を適用する裁判所の下に置いたのが、アメリカ合衆国憲法判例によって確立された違憲立法審査制度である。第二次世界大戦後日本も、このアメリカの制度を採用して、アメリカ流「法の支配」の原則を導入した。[長尾龍一]

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世界大百科事典内の法の支配の言及

【法治国家】より

…すなわち,そこでは,個人の尊厳を最高の価値と認め,すべての政治の目的はそれに仕えるものとみなし,憲法をもって個人の基本的人権を保障し,法律といえどもこれを侵すことを許さぬものとし,裁判所の権威によってその保障を確保しようとする国家が考えられている。よく知られているように,イギリスの政治体制の根本原理とされる〈法の支配rule of law〉の思想などは,そうした意味を多分に含んでいるといってよかろう。 法治国家の原理は,いうまでもなく専制的な権力によって絶対君主が恣意的に支配した警察国家Polizeistaatに対する反動として,個人の自由な生活領域を国家権力による侵害から擁護しようという政治的原理ないし政治的要求の標語として唱えられたものである。…

【法律による行政】より

…もともと,この原理は,一般に,絶対主義国家における国家権力の主観的恣意的支配に客観的合理的な法一般を対置し,法による支配を実現し,それによって国民の権利自由を保障しようとしたところに端を発するものであり,制度的には,権力分立=三権分立と立法権の優位の思想を背景とし,それを行政権とのかかわりで表現したものである。〈法治国家Rechtsstaat〉(ドイツ),〈法の支配rule of law〉(イギリス),〈法の優位supremacy of law〉(アメリカ),〈法の政体régime de droit〉(フランス)などの言葉は,ほぼ共通して上述のような内容のことを意味するのであるが,しかし,それらの言葉で語られる〈法律による行政〉の原理の具体的内容は,時代と国によって必ずしも同様ではなく,それぞれの国の歴史的社会的背景の差異を強く反映したものであった。
[明治憲法下の法律による行政]
 明治憲法下の日本の行政法,行政法学は旧時代のプロイセン・ドイツの〈法律による行政〉の原理Prinzip der gesetzmässigen Verwaltung,Prinzip der Gesetzmässigkeit der Verwaltungの基本的考え方を採用した。…

【立法】より

…しかし,今日においては,具体的な問題を処理するための立法(ドイツでは処分法律Massnahmegesetzと呼ばれる)もみられるようになった。 国家の活動がすべて法に基づかなければならないという原則(法治主義)より進んで,その法が国民の意思を反映していなければならないという原則(法の支配)が,国家機構の中に貫徹する近代以降の民主主義国家においては,国民の意思を選挙を通して反映する議会が,まず,一般的・抽象的な準則(法律)を定め,それに拠(よ)って行政が行われ,あるいは,人々がこの準則に拠って行動し,さらにこれら準則をめぐる争いを裁判所が解決するというしくみが通例のものとなっている。したがって,議会が立法機関となるのがふつうである。…

※「法の支配」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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