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泳ぐ/游ぐ オヨグ

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デジタル大辞泉の解説

およ・ぐ【泳ぐ/×游ぐ】

[動ガ五(四)]《古くは「およく」か》
人や動物などが手足やひれを動かして水面や水中を進む。「海で―・ぐ」「コイの―・ぐ池」 夏》
前のめりになってよろめく。「つまずいてからだが前へ―・ぐ」
人がたくさんいる間をかき分けるようにして進む。「人ごみの中を―・いで追いついた」
うまく世間を渡る。「芸能界を巧みに―・いでまわる」
遊里で、遊びに夢中になる。
「そのつやつやとしたお顔に、主人六波羅殿―・がるるも道理道理」〈浄・大塔宮
[可能]およげる

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

泳ぐ
およぐ

多種多様の動物は大きく陸生生活を営むものと、水生生活を営むものとに分けることができる。いずれの生活においても、動物の特徴の一つに移動をあげることができ、その目的は生殖と食餌(しょくじ)行動が主である。「泳ぐ」とは原則として水生動物がこれらの目的を果たすために、手足やひれを動かして水中、水面を進む運動である。泳ぐ動物種は多数いるが、泳ぐ運動は「筋収縮による」ものと、「繊毛運動や鞭毛(べんもう)運動による」ものとに区別できるが、ここでは筋収縮による泳ぎについて取り上げる。[青木 清]

筋収縮による泳ぐ運動

筋肉による運動は、骨格筋の収縮によるものである。筋運動には固い骨格が不可欠である。しかも骨格筋を構成する二つの線維間の滑りによる収縮だけでは運動として意味がなく、筋肉運動の伸長が可能でなければならない。したがって伸長するためには、縮んだ線維を伸ばすための機構が必要である。それは、骨格をてことして、一方が縮むときには他方が伸びるという拮抗(きっこう)作用による。骨格をてことする力学的な働きは、筋肉運動として速い動き、遅い動き、大きな力の発生と、緩急自在の動きをもたらす。
 この働きは脊椎(せきつい)動物のような内骨格の動物でみられるが、外骨格をもつ節足動物(昆虫や甲殻類)でも、外骨格を支えとして伸縮する筋肉運動が認められる。基本的には内骨格の動物と同じく拮抗作用による運動である。したがって泳ぐという運動を制御する神経系も、内骨格・外骨格からなる動物においては、興奮と抑制からなることで、同じ機能である。[青木 清]
ジェット機の推進に似た動き
脊椎動物が水中、水面で泳ぐことは、支柱となる骨格と筋肉の働きによることは前述したが、物理的には水の慣性反作用を利用したもので、つまりジェット機の推進に似た運動によっている。このような運動は一部の筋肉による運動ではなく、からだ全体の筋肉運動による。このからだ全体の筋肉運動による推進を一定方向性に保つためには、硬骨化し重量をあまりとらない強い脊椎が必要である。
 体形は、脊椎を中心として水に対する推進のための抵抗を少なくするような形態であると同時に、バランスをとるための適切なひれの発達とによっている。このようなことから、水中で三次元的に運動する体形として、魚類の硬骨魚やクジラ類のイルカなどの体形は、泳ぐために最高に発達した形態といえる。[青木 清]

どう泳ぐか

脊椎動物で泳ぐ運動をみるとき、うきぶくろをもった魚類と、肺をもった四肢の動物種とに区別される。[青木 清]
オタマジャクシやカエルなどの泳ぎ方
肺をもつ動物の例として単純なものからみていくとオタマジャクシの泳ぎがある。両生類の幼生であるオタマジャクシの泳ぎは、からだを横うねりさせて前進する。それは、からだをうねらすことで、まず波を頭端におこさせ、その波を尾の動きをもって後方へと増す。うねりによって生じる波を前進のために効果的に利用するには、側方の動きを防ぐことである。それは、からだの背側と腹側にあるひれによっている。さらに前進しやすい形態として、頭部前面の表面積が小さくなる。効率のよい前進は、推進力と抗力との兼ね合いによって、推進の増大を図る。
 両生類のイモリやカエル、あるいは爬虫(はちゅう)類のカメやスッポンなどは、胸部と腰部に2対の四肢をもっていて、これらは、からだの横のうねりを生じるときに、肢(あし)をあげてその直後に前後に移動させながら水をかく運動をする。これによって推進力は増し、さらに効率をあげるために、四肢の指の間に水かきの膜をもっている。このような推進力をつけることができるように、水鳥では脚(あし)の指に水かきが存在する。[青木 清]
クジラやイルカの泳ぎ方
哺乳(ほにゅう)類のクジラ類のクジラやイルカの泳ぎについては、体形が魚類に似ていて、尾びれは尾部末端で水平に発達している。それは後肢の変形したもので、このほかに胸部に対のひれをもっている。その形態から水のうねりをおこして前進するが、横のうねりをおこすのでなく、背と腹を上下に運動させて湾曲しながら泳ぐ。この推進力は物理的原理からいえば、うねりが横であっても垂直方向であっても同じである。からだの先端で生じた垂直のうねりが、後方に進むにつれて大きくなるように、からだの上下の運動を行う。
 このような機能をもつことで、海洋常住種のクジラ類や海牛(かいぎゅう)類(ジュゴン)などは、両生類や爬虫類とは異なり、むだな横の動きはほとんどしないで進む。陸生動物とは異なる変型をした四肢を使って、上下のからだの運動のバランスをとるアザラシやオットセイのような海洋適住種も、海洋常住種に近い形態をしている。[青木 清]
カワウソやホッキョクグマの泳ぎ方
また陸上生活を主とするイタチ科のカワウソ、ラッコ、あるいはクマ科のホッキョクグマのような動物は、餌を水中に求めたり、ときには敵から逃げたりするために、水中に向かうことから、泳ぎに適した脚の形態をしている。たとえばラッコ、カワウソの前後肢の指趾(しし)の間には水かきがあり、これによって泳ぐ。[青木 清]
イヌやウマの泳ぎ方
一方、イヌやウマになると、家畜として古くから人間とともに生活していたことから、山野を移動するのに適した歩行用の四肢をしている。それらの動物の四肢には水かきなどは形成されていない。したがって泳いだり浮いたりするのに適した形態はしていないが、四肢の運動によって泳ぎ浮くことはできる。その泳ぎは犬かきによって代表されるように、前肢の関節を巧みに使って、とくに腕の先端部で水を後方へかく運動で推進する。そしてそのときの後肢は推進を助けるために、水を後方へ送るためのキックを繰り返す。[青木 清]
魚類の泳ぎ方からの3分類
魚類の形態は、水生常住であることから泳ぎに適した形をしている。一般に魚類の泳ぎの方法は、からだを左右に適当に曲げたり伸ばしたりして、水を斜め後方に押しやって前進する。これは先のオタマジャクシと同じような泳ぎ方であるが、魚類は泳ぐときには尾びれが推進器で、背びれと尻びれは垂直舵(だ)、胸びれと腹びれは水平舵となって、からだのバランスを保って、横振れをしながら前進する。このように、泳ぐ運動と体形は密接な関係があり、このことから魚類を泳ぎの型から三つに分類できる。
 第一に、広い大洋を長時間、速く泳ぐものは魚雷型(マグロ、カツオ、サバなど)で、魚として物理的に優れている。それは紡錘形のからだを硬直させて左右に屈伸することなく、ただからだの後端だけを強く振動させて泳ぐ方法である。第二は漕艇(そうてい)型である。からだの左右にあるひれと胸びれで、水を後方に押し流して前進するエイの類にみられるような泳ぎである。この類は、尾部が退化し胸びれが左右に広がっている体形をしている。第三として、からだを左右に何回も屈曲して泳ぐウナギやドジョウのような蛇行型がある。このように魚類は泳ぐと同時に、水生動物としてだいじな機能の一つに、浮いたり沈んだりできるうきぶくろの存在がある。しかし魚類でも軟骨魚の板鰓(ばんさい)類(サメ)にはうきぶくろがない。板鰓類は静止状態では沈む傾向があるので、揚力を必要とするために、大きな前びれをもって役だてている。[青木 清]

ヒトの泳ぎについて

終わりに、陸生動物の最高に進化したヒトの泳ぎについて述べる。直立二足歩行の身体的特徴をもったヒトは、歩行による移動が主であって、泳ぎによる移動は特殊な場合だけで、元来は行われない。ヒトの体形は直立歩行に適した形態であって、四肢についてみれば、下肢は上肢に比べて、はるかに長く強大である。また逆に上肢は下肢に比べて、はるかに自由である。この四肢の特徴が泳ぐという運動に大きく関係している。下肢の強大さを使った進行と浮上のための運動と、上肢による水中での体勢保持のための運動によって、泳ぐことを可能にしている。
 この泳ぎの形態は基本的には水陸両生の動物の泳ぐ形に当てはまる。たとえばカエルやアザラシなどと同じで、前肢は腕と掌(てのひら)とを十分に活用して、水を後方にかき、推進運動を行う。また後肢は上下のばた足とかキックを行うことで、前肢の推進の補助を図る。このような運動はヒトの場合、成長期間の過程で、社会独自の行動様式として獲得されるものであって、明らかに学習による結果である。したがって、ヒトも含めた霊長類は陸生生活に適応した形態を獲得してきたことから、水生生活には不適な形態であって、泳ぐという運動は学習によらなければならない。[青木 清]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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