改訂新版 世界大百科事典 「活線作業」の意味・わかりやすい解説
活線作業 (かっせんさぎょう)
hot-line work
電圧のかかった状態で送配電線の修理などを行うこと。電力の供給を停止せずに行うので望ましい方法であるが,工具,衣服などをくふうして感電の危険を十分除いて行う必要がある。送電線では不良碍子(がいし)の検出と取替え,電線を碍子からつり下げる金具(クランプ)の取替え,汚れた碍子表面の清掃などが活線作業で行われることがある。絶縁耐力の高い長い棒の先に金属製の工具をつけた活線工具を用いて行うことが多い。電線に止まる鳥のように,人体全体が十分絶縁されて電線と同じ電位になれば安全である場合もあるが,高電圧部分には近づかないのが原則である。日本では労働安全衛生規則に最小活線接近距離が定められている。配電線では電線の張替えなどを活線作業で行う場合がある。活線部分をゴムシートなどの絶縁物で覆って誤って触れないようにし,絶縁物製の手袋,長靴など絶縁保護具を着用して作業を行う。送電線のところで述べた長い絶縁棒の先につけた工具を用いることもあるが,作業能率の上から電圧の高い送電線と異なりあまり採用されない。変電所でも活線作業が行われる場合があるが,海岸に近く塩分で碍子やブッシングの表面が汚れる変電所では水で洗浄する装置がつけられている。これを活線洗浄という。
執筆者:河野 照哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報