入浜塩田の賃労働者の総称。発生は近世初期。賃金の約60%の前貸しをうけた1年季奉公の型が一般的である。これには常雇いのもの,準備・採鹹(さいかん)作業日のみの日雇いであるが年季契約の見習徒弟的なもの,採鹹時間のみ出勤する老人・女・子どもなど,および釜焚夫の4種類があった。自宅から出勤する塩田と,出稼労働者が浜子小屋に住み込む塩田とがあった。各地各様の呼称があったが,それは身分と作業内容を示す。一例として松永塩田の場合,大工には
上(じよう)浜子-差浜子-三人目-四人目-中者(なかもの)-炊(かし)き……常雇い
土振-寄せ-浜引-水引-昼から起し……日雇い
日釜焚-夜釜焚
という区別があった。熟練と重労働に依存する製塩労働は封建的労働組織のなかで習得された。しかし1700年ころから階級意識の芽生えもみられ,賃金闘争・団体交渉も近世後期には一般化し,各地で怠業や惣休みという抵抗もみられた。しかし島嶼部などからの出稼労働者の多い地域などでは,浜子市がたつ塩田もあった。
→塩田
執筆者:広山 尭道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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