寄子(読み)ヨリコ

デジタル大辞泉 「寄子」の意味・読み・例文・類語

より‐こ【寄子】

鎌倉・室町時代、惣領に対する庶子
戦国大名の軍事組織で、寄親もとに編制された在地土豪など。
江戸時代人宿ひとやどにいてその主人を寄親とし、奉公口を探す者。
配下手下
「―ども引きつれて住み侍る」〈宇津保・楼上下〉

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精選版 日本国語大辞典 「寄子」の意味・読み・例文・類語

より‐こ【寄子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鎌倉・室町時代、総領に対する意味の庶子をいう。
    1. [初出の実例]「正月御所御垸飯寄子上野二郎跡と申候」(出典:中山法華経寺所蔵天台肝要文裏文書‐建長五年(1253)一二月三〇日・長専書状)
  3. 戦国時代、寄親に率いられる武士。寄親を指南(しなん)、寄子を与力寄騎)、同心などともいう。戦国大名は、寄子団を支配している組頭、物頭などの寄親を掌握することにより家臣団統制を図った。
    1. [初出の実例]「出雲守寄子江州海津衆饗庭・田屋・新保此三人上洛」(出典:親元日記‐寛正六年(1465)九月一一日)
  4. 配下の者。手下。子分。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「それぢゃあ手前(てめえ)は備前町で、元は生田の手廻り頭、丹右衛門が妹を、女房にした夢の寄子(ヨリコ)か」(出典:歌舞伎・日本晴伊賀報讐(実録伊賀越)(1880)四幕)
  5. 江戸時代、人宿(ひとやど)(=口入屋)に身を寄せ、奉公口を探しているもの。人宿の主人(親方)を寄親と頼み、その身元引受により奉公した。
    1. [初出の実例]「寄子五人以上有之者は、縦親類同国にても、人宿にて候間、組合え入可申候」(出典:御触書寛保集成‐四〇・宝永八年(1711)二月)
  6. ( 「憑子」とも ) 物の怪(け)にとりつかれた人。また、修験者や、梓巫(あずさみこ)生霊死霊を招き寄せる時、霊を一時的に宿らせるためにそばにいさせる人。よりまし。ものつき。
  7. ( 「憑子」とも ) 寄り講で、選ばれて神がかりにさせられる者。より。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「寄子」の解説

寄子
よりこ

中世の武士団において,惣領が血縁関係のない武士を一族内にとりこむため擬制的な親子関係をとり,(寄)親として従者・被保護者を(寄)子に組織するもの。室町時代以降,家臣団編成の手段として広く用いられ,戦国大名の軍事組織編成にも多くとりいれられた。村落レベルでも労働奉仕・被保護の関係としてみられた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の寄子の言及

【同心】より

…もとは同意・協力する人を意味したが,戦国時代には,大名の家臣団編成において寄親たる上級家臣(部将)の組下に編入され,その指揮に従う武士を,寄騎,与力,寄子,同心などと称した。このうち同心は与力の何騎に対して何人と数えられ,主として在地の名主層出身のものであったといわれる。…

【寄親・寄子】より

…親子関係に擬して結ばれた保護者・被保護者の関係。戦国大名の家臣団組織の中で,寄親は指南,奏者などとも呼ばれ,寄子は与力(寄騎),同心とも呼ばれた。邦訳《日葡辞書》では,寄親を〈ある主君の家中とか,その他の所とかにおいて,ある者が頼り,よりすがる相手の人〉,寄子を〈他人を頼り,その庇護のもとにある者。…

※「寄子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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