海域公園とは、優れた海域の景観を保護するため指定される海域公園地区と、その周辺1キロメートルの海面の普通地域、ならびに海域公園地区の海域景観を利用するための施設(関連施設を含む)を総括することばである。海域公園地区は、環境大臣(旧、環境庁長官)が、国立公園または国定公園の海域の景観を維持するため、公園計画に基づいてその区域の海面内に指定することになっている。2022年(令和4)3月末時点で、海域公園と指定された地区は100か所ある。
歴史的にみると、1962年アメリカのシアトルで開催された第1回世界国立公園会議において、各国で海中公園について検討するよう勧告が出され、日本では1967年財団法人海中公園センターが設立された。1970年串本(くしもと)海中公園地区など亜熱帯海区を中心に10地区の第一次海中公園地区指定が行われ、2010年の自然公園法の一部改正施行に伴い海中公園から海域公園の名称に改められた。当初の10地区から逐次増加して今日に至っている。
海域公園地区内においては、環境保護のため、国立公園の場合は環境大臣、国定公園の場合は都道府県知事の許可を受けなければ、工作物の構築、鉱物・動植物の採取、海底の形状変更、汚水の排出などは禁止されている。
海域景観を利用するための施設としては、グラスボート、海中展望塔、その他の施設がある。和歌山県の串本海域公園の例を述べると、水族館、海中展望塔、半潜水型海中観光船、海中公園レストランなどがある。今後はスノーケリングやダイビングによる自然観察も考慮されよう。海中展望塔は串本のほか、千葉県勝浦、沖縄県部瀬名岬、高知県土佐清水、佐賀県玄海などにもある。
[岡村健二]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新