食の医学館 の解説
かいがいりょこうできをつけたいかんせんしょう【海外旅行で気をつけたい感染症】
水はもちろん氷も病原体のすみかです。かならずミネラルウォーターを利用するようにしましょう。魚、肉は火をとおし、くだものはまるごと買って、自分でカットしましょう。
〈渡航者に増加する伝染性感染症〉
感染症とは、微生物(びせいぶつ)が体内に侵入し、そこで繁殖したために起こる病気の総称で、インフルエンザや赤痢(せきり)のように、人から人へと感染するものを伝染性感染症、膀胱炎(ぼうこうえん)や破傷風(はしょうふう)のように人から人へは感染しないものを非伝染性感染症と呼びます。
伝染性感染症は、O(オー)―157のように国内でも発生しますが、近年は、海外旅行者が外国で感染してくるケースがふえており、注意が必要です。
感染のしかたには、水や食べものをとおして口から感染する経口感染(けいこうかんせん)、蚊(か)に刺されたり動物にかまれたり、あるいは汚染された水や土が傷口にふれて感染する経皮感染(けいひかんせん)、血液を介して感染する血液媒介感染(けつえきばいかいかんせん)、性行為によって感染する性感染があります。
ここでは、コレラ、赤痢(せきり)、腸チフス、A型肝炎など経口感染による病気を予防するための注意点を紹介します。
〈生ものはなるべく避け、火をとおしたものを選ぶ〉
まず、生水(なまみず)を飲まないこと。かならずミネラルウォーターか湯ざましを飲むようにしましょう。レストランなどでだされる水も要注意です。また、水には気をつけていても、うっかり口にしてしまいがちなのがジュースや水割りに入っている氷です。汚染された水でつくられた氷に病原体が混入している可能性があります。
細菌が発育しやすいアイスクリームやヨーグルトなどの乳製品も油断できません。温度管理が悪いと病原体が急激に増加するため、衛生状態が心配なところでは食べないようにしましょう。
そのほか生野菜やくだもの、生の魚介類や肉にも注意が必要です。生野菜には寄生虫(きせいちゅう)がいることも多く、汚染された水や調理道具によって病原体が付着しているかもしれません。
屋台の切り売りやバイキングなど、カットされ長時間放置されたままのくだものも、汚染されていたり菌が増殖している危険があります。野菜は火をとおした料理を、くだものはまるごと買って皮をむいたらすぐに食べるようにしましょう。
生の魚介類や肉も寄生虫の心配があります。さらに貝類は、A型肝炎のウイルスがいる場合もあり、発展途上国ばかりでなく、どの地域でも危険です。
魚介類や肉は、よく火のとおったものを選びましょう。