知恵蔵 「消費税増税問題」の解説
消費税増税問題
日本の消費税率は1989年の消費税法(竹下内閣時に成立)施行時には3パーセントであったが、97年には「福祉の充実」の名目で5パーセントに引き上げられている。民主党は2009年の衆議院総選挙において、消費税を4年間は引き上げないとの公約を掲げて圧勝した。しかしながら、政権獲得後の翌10年には消費税引き上げを示唆し始め、直後の参議院選では大敗を喫する。それにもかかわらず、野田首相は11年11月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、財政再建のために消費税率を10パーセントに引き上げるとした。
国民新党は消費税引き上げをしないことを公約していた。このため、消費税増税関連法案についての閣議決定に先立ち、同党の亀井静香代表が連立政権からの離脱を表明したものの、同氏が代表を解任されて離党する結果となった。かねてより消費税の引き上げを党議決定している自民党を始め、野党にも増税に対する見解に隔たりや違いが見られ、国会各会派では意見が錯綜(さくそう)する。民主党内についても、小沢一郎民主党元代表グループなどが意図的に反発を強めているが、野田首相は「政治生命をかける」などとして増税実現に向けて強硬な姿勢を示す。衆参両院の「ねじれ国会」の状況の中で、法案の推移が注目されている(2012年4月現在)。
(金谷俊秀 ライター / 2012年)
消費税増税問題
(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報