清正誠忠録(読み)きよまさせいちゅうろく

改訂新版 世界大百科事典 「清正誠忠録」の意味・わかりやすい解説

清正誠忠録 (きよまさせいちゅうろく)

歌舞伎狂言。3世河竹新七作。時代物。6幕。原名題は《実成龝清正伝記(みのりのあきせいしようでんき)》。加藤清正の毒饅頭(まんじゆう)の俗説を脚色したものであるため通称を《毒饅頭の清正》という。1875年10月東京新堀座(旧河原崎座)で初演。9世市川団十郎と8世岩井半四郎の出演が話題になった。このときは,江戸歌舞伎風に近江源氏の世界とし,加藤清正は佐藤正清,淀君は宇治の方といったが,94年3月に団十郎が明治座で再演した時,名題を《清正誠忠録》と改め,登場人物を実名にした。これは団十郎が活歴に力を入れはじめていたためで,時代考証を綿密におこない,写実的な演出で観客を驚かせた。京都の二条城徳川家康が豊臣秀頼と対面したときに秀頼の供をしてきた加藤清正は,池田輝政,浅野幸長,片桐且元らと別室で接待を受ける。家康のたくらみにより毒饅頭が出たが,家康の家来の渋川八右衛門が犠牲になって毒味をする。その忠義に感じた清正らは,毒を承知で饅頭を食べる。近づく死を意識した清正らは豊臣家の将来を嘆く。清正は大坂城で秀頼,淀君にあいさつして肥後へ旅立つ。のち清正は竹田街道で家康の家臣榊原康政と別れのあいさつをする。世の推移を清正は悲しむ。団十郎のリアルな演出には毀誉褒貶(きよほうへん)があったが,初世中村吉右衛門はその長所をよく継承し,団十郎の方法にみずから工夫を加えて大当りをとった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「清正誠忠録」の解説

清正誠忠録
きよまさ せいちゅうろく

歌舞伎・浄瑠璃外題
作者
河竹新七(3代)
初演
明治37.3(東京・明治座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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