清水喜助(読み)しみずきすけ

改訂新版 世界大百科事典 「清水喜助」の意味・わかりやすい解説

清水喜助 (しみずきすけ)
生没年:1815-81(文化12-明治14)

明治初頭の建築家。富山県東砺波郡井波町(現,南砺市)に生まれる。大工棟梁清水喜助(1783-1859)の弟子となり,1839年(天保10)清水家に入婿,59年(安政6)2代目を名乗る。初代より出入り井伊直弼周旋で横浜に進出し,外国奉行所や異人牢などを建設する一方で西欧建築の様式を吸収し,明治維新後みずから設計した三井組ハウス(1872),為替バンク三井組(1872)により,擬洋風建築と呼ばれる折衷様式傑作を世に現した。現在の清水建設の祖である。
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朝日日本歴史人物事典 「清水喜助」の解説

清水喜助(2代)

没年:明治14.8.9(1881)
生年:文化12.11(1815)
幕末明治期の大工,建設業者。清矩と名乗る。越中国礪波郡北川村(富山県井波町)の小間物商,北市屋清八の次男本姓藤沢清七。江戸に出て初代清水喜助(清水建設の創業者)のもとに弟子入りし,見込まれて入り婿となる。以後,横浜開港に伴う幕府の工事などを通して事業を大きく発展させ,建設業の基礎を整えた。幕末から明治にかけて建設された外国人旅館(通称築地ホテル館)の施工,明治初期の三井組の本拠地である海運橋と駿河町の建物(前者はのちの第一国立銀行)の設計・施工を行う。これらの建物は明治初期に全国各地に建設された擬洋風建築に大きな影響を与えた。<参考文献>清水建設百五十年史編纂委員会編『清水建設百五十年』

(初田亨)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清水喜助」の意味・わかりやすい解説

清水喜助
しみずきすけ

[生]文化12(1815).富山
[没]1881.8.9. 東京
建設業者。現在の清水建設の祖。越中の井波に大工清八の息子として生れる。旧名藤沢清七。初代喜助の長女と結婚,2代目となる。数多くの擬洋風建築を手がけ,築地ホテル館 (1868) ,三井組ハウス (のちの第一国立銀行,72) ,為替バンク三井組 (74) ,深川の渋沢栄一邸 (77) などを完成。三井組,渋沢栄一と密接な関係をもち,近代的建設会社への基礎を築いた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「清水喜助」の解説

清水喜助(2代) しみず-きすけ

1815-1881 幕末-明治時代の建築家。
文化12年11月生まれ。初代喜助の娘婿。初代の横浜進出をたすけ,安政6年2代目を襲名。築地ホテル館,第一国立銀行などの和洋折衷の建築を設計施工。現在の清水建設の基礎をかためた。明治14年8月9日死去。67歳。越中(富山県)出身。本姓は藤沢。前名は清七。

清水喜助(初代) しみず-きすけ

1783-1859 江戸時代後期の棟梁(とうりょう)。
天明3年生まれ。文化元年(1804)江戸神田で大工仕事をはじめ,井伊家など大名の普請を手がける。横浜開港とともに同地に進出し,外国奉行所,品川の公使館などをたてた。現在の清水建設の創立者。安政6年死去。77歳。越中(富山県)出身。

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世界大百科事典(旧版)内の清水喜助の言及

【近代建築】より

…それらは大工棟梁や職人の活躍に負うもので,在来の構法を駆使しつつ洋風らしさを表現しようとした。築地ホテル館(1868,東京)や第一国立銀行(1872,東京)などを造った清水喜助はその代表的人物である。またそのような木造洋風建築は,学校,病院,役場などを対象として全国的に普及した。…

【建設業】より

… 明治になると,西洋建築や工場建築の需要に対応して,資本家化した町方棟梁を中心として建築業界は活況を呈した。江戸末期の横浜開港以来,外人居留地における外国商館建築ブームが起こり,大工棟梁から出た清水喜助(清水建設創業者),鹿島岩吉(鹿島建設創業者)等の建築業者がこれを施工している。同時期,土木業界は,1870年(明治3)に開始された新橋~横浜間の鉄道工事および引き続いての明治年間の主要鉄道網の建設とともに請負業として成長した。…

※「清水喜助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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