渡唐銭(読み)ととうせん

精選版 日本国語大辞典 「渡唐銭」の意味・読み・例文・類語

ととう‐せん トタウ‥【渡唐銭】

〘名〙 平安末期から室町末期に至る間、中国から移入されて、本邦通貨として流通した銭貨。そのときどきに中国の流通市場にあったすべての一文通用銭貨が含まれているが、年代的にいえば、前漢時代の半両・五銖の両銭に始まり、唐朝宋朝、南宋朝、遼、金、元朝明朝に至る間のもので、そのうち、北宋朝のものが数量的に最も多い。
※内閣文庫本建武以来追加‐明応九年(1500)一〇月「至根本渡唐銭〈永楽洪武宣徳〉等者、向後可渡之

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「渡唐銭」の解説

渡唐銭
ととうせん

中国から輸入した銭貨。中世日本で流通。日宋貿易により,12世紀から北宋銭を中心に唐代の開元通宝などの中国銭が輸入され,13世紀には国内に広く流通した。南宋・元との貿易でも,北宋銭などが輸入された。日明貿易では,永楽通宝などの明銭が輸入される一方,北宋銭も大量に流通した。のち明銭などを模造した私鋳銭(しちゅうせん)が作られ,撰銭(えりぜに)が行われた。東国では16世紀中頃から永楽通宝が基準とされ,江戸幕府が1608年(慶長13)に永楽通宝の流通を停止するまで流通した。

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世界大百科事典(旧版)内の渡唐銭の言及

【銭】より

…日本最初の官銭としての銭貨は708年(和銅1)鋳造の和同開珎(わどうかいちん)で,以後,万年通宝,神功開宝,隆平永宝,富寿神宝,承和昌宝,長年大宝,饒益神宝,貞観永宝,寛平大宝,延喜通宝,乾元大宝のいわゆる皇朝十二銭が鋳造・発行された。中世に入ると各種の中国渡来銭が日本に流入して渡唐銭と呼ばれ,鎌倉時代には宋・元の銭貨が,室町時代には明銭が主として用いられた。明銭の洪武通宝,永楽通宝,宣徳通宝などは中国銭のなかでも最も代表的なものである。…

※「渡唐銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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