準拠枠(読み)じゅんきょわく(英語表記)frame of reference; Bezugssystem

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会学,心理学用語。関係系,照準枠ともいう。認識,判断などの心理現象の研究においてつくられた概念で,対象を認識し,それを解釈し規定する際,基準として働く内的システム,つまり判断の枠組みをいう。実験社会心理学者 M.シェリフが提唱し,社会学者 T.M.ニューカムが発展させた。われわれの認識や判断は,対象自体を直接認知評価するのではなく,基準となる手掛り,あるいは枠組みとなる他の諸要因や,前後の一連の文脈などと関連してなされている。それは過去の経験や対象のおかれ方によって形成される。事物事象知覚から推理などの思考過程をはじめ,一般に行為,態度の是非,善悪に関する判断においては,判断者の属する社会や集団の規範あるいは役割体系が準拠枠になることが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

照準の枠組みともいう。科学の主題や研究の領域などを明確化させるために用いられるものであり、科学の方法論における専門用語の一つ。このことばについての発想はホブソンE. W. Hobsonにみられる(『自然科学の領域』1923)。現実を秩序づけたり、意味のある観察や考察を行ったりするために、一組の仮説または諸カテゴリーのシステムともいうべき準拠枠が用いられる。準拠枠は対象をみたり理解したりするための視点、対象へのアプローチ、それにパースペクティブ(視野)などと密接に結び付いている。R・E・パークは、共生symbiosisと社会化socializationをもって社会の研究のための準拠枠とみなしたが、パーソンズらは、行為の理論の準拠枠にはもろもろの行為者、行為の状況、そうした状況に対する行為者のオリエンテーションが含まれるものとみている。独自の方法(一筋の道)である科学は、準拠枠によって明るく照らし出されるのである。[山岸 健]
『T・パーソンズ、E・A・シルス編著、永井道雄ほか訳『行為の総合理論をめざして』(1962・日本評論社) ▽田野崎昭夫編著『パーソンズの社会理論』(1988・誠信書房) ▽T・パーソンズ著、田野崎昭夫監訳『社会体系と行為理論の展開』(1992・誠信書房) ▽R・K・マートン著、森東吾ほか訳『社会理論と社会構造』(2002・みすず書房)』

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