濃紅銀鉱(読み)のうこうぎんこう(その他表記)pyrargyrite

最新 地学事典 「濃紅銀鉱」の解説

のうこうぎんこう
濃紅銀鉱

pyrargyrite

化学組成Ag3SbS3鉱物三方晶系,空間群R3c,格子定数a1.104nm, c0.872(arh0.700nm, α103°59′),単位六方格子中6分子含む。通常,深紅色柱状結晶。劈開}明瞭,断口貝殻状~不規則,脆弱,硬度2.5,比重5.85。ダイヤモンド光沢条痕紫紅色。一軸性負,屈折率(Li)ω3.084, ε2.881,反射光下では灰青白色で反射多色性・異方性ともにある。また内部反射は鮮赤色。HNO3で分解,SとSb2O3分離。銀の重要な鉱石鉱物,中低温熱水鉱床中に他の銀鉱物共生。特徴的な色と化学組成から,ギリシア語のpūr(火)およびarguros(銀)から命名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「濃紅銀鉱」の意味・わかりやすい解説

濃紅銀鉱
のうこうぎんこう
pyrargyrite

銀の硫塩鉱物中もっとも普通の種で、重要な鉱石鉱物の一つ。自形は六角柱状、鉱脈の空隙(くうげき)にみられるが、多く他の硫化物脈石鉱物と密雑な集合をつくる。針銀鉱黄銅鉱とは直接共存しない。日本のおもな産地は、かつては秋田県雄勝(おがち)町(現、湯沢市)院内鉱山閉山)、兵庫県朝来(あさご)町(現、朝来市)大乗(だいじょう)鉱山(閉山)、神子畑(みこばた)鉱山(閉山)などで良晶を産したが、いまでは鹿児島県串木野(くしきの)鉱山などで小結晶がみられる程度である。火閃銀鉱(かせんぎんこう)pyrostilpniteとは同質異像関係にあり、その高温相に相当する。転移温度約200℃。英名はギリシア語の「輝く」と「銀」を意味する語の合成語である。

[加藤 昭 2018年5月21日]


濃紅銀鉱(データノート)
のうこうぎんこうでーたのーと

濃紅銀鉱
 英名    pyrargyrite
 化学式   Ag3[SbS3
 少量成分  As,Se
 結晶系   三方
 硬度    2.5
 比重    5.86
 色     深赤
 光沢    亜金属~金剛
 条痕    暗赤
 劈開    三方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「濃紅銀鉱」の意味・わかりやすい解説

濃紅銀鉱
のうこうぎんこう
pyrargyrite

三方晶系の鉱物。 Ag3SbS3 。硬度 2.5,比重 5.85。暗赤色,金剛光沢,半透明。六角柱状結晶,劈開 が明瞭。条痕は紫紅。淡紅銀鉱とともにルビーシルバーと呼ばれる。輝銀鉱などと共生して各種熱水鉱床に産出する。銀の重要な鉱石鉱物。

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世界大百科事典(旧版)内の濃紅銀鉱の言及

【銀鉱物】より

…銀を数%以上含む鉱物は約60種知られている。重要な銀鉱物としては,自然銀native silver Ag,輝銀鉱argentite Ag2S,角銀鉱cerargyrite AgCl,ナウマン鉱naumannite Ag2Se,安銀鉱dyscrasite Ag3Sb,ジャルパ鉱jalpaite Ag3CuS2,硫ゲルマン銀鉱argyrodite Ag8GeS6,硫シャク(錫)銀鉱canfieldite(別名,カンフィールド鉱) Ag8SnS6,ゼイ(脆)銀鉱stephanite(別名,ゼイ安銀鉱) Ag5SbS4,濃紅銀鉱pyrargyrite Ag3SbS3,淡紅銀鉱proustite Ag3AsS3,雑銀鉱polybasite(別名,輝安銅銀鉱) (Ag,Cu)16Sb2S11,ヒ(砒)雑銀鉱arsenpolybasite (Ag,Cu)16As2S11,ヘッス鉱hessite(別名,ヘッサイト,テルル銀鉱)Ag2Teなどがある。このほか四面銅鉱や方鉛鉱には銀を含むものがあり,鉱床内に多産する場合にはシルバーキャリアとして重要視される。…

※「濃紅銀鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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