針銀鉱(読み)シンギンコウ(その他表記)acanthite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「針銀鉱」の意味・わかりやすい解説

針銀鉱
しんぎんこう
acanthite

銀の鉱石鉱物の一つ。179℃以上で結晶し、等軸晶系の外形をもつものを輝銀鉱、これより低温で結晶し、単斜晶系に属するものを針銀鉱とよんでおり、常温での原子配列はすべて針銀鉱型になっている。各種熱水鉱床に産し、黄鉄鉱黄銅鉱、方鉛鉱、閃(せん)亜鉛鉱、自然金などと石英脈中に産する。銀黒(ぎんぐろ)と俗称される高品位銀鉱石は、石英や長石を主とする細粒の石英脈中に微粒の針銀鉱などが含まれるものである。英名は、とげを意味するギリシア語のakanthaに由来する。この鉱物が針のような外観の結晶であることから名づけられた。

加藤 昭 2017年5月19日]


針銀鉱(データノート)
しんぎんこうでーたのーと

針銀鉱
 英名    acanthite
 化学式   Ag2S
 少量成分  Se
 結晶系   単斜
 硬度    2~2.5
 比重    7.24
 色     鉄黒
 光沢    金属
 条痕    暗灰
 劈開    無
       (「劈開」の項目参照
 その他   可切性あり。粉末にならない

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

最新 地学事典 「針銀鉱」の解説

しんぎんこう
針銀鉱

acanthite

化学組成Ag2S 針銀鉱族の鉱物。硫銀鉱とも。輝銀鉱と多形。単斜晶系(擬直方晶系),空間群P21/c,格子定数a0.4231nm, b0.6930, c0.9526, β125°29′,単位格子中4分子含む。鉄黒色,金属光沢,針状~柱状結晶。劈開不明瞭,硬度2~2.5,比重7.22(測定値),7.24(計算値)。可切性。179℃以上で輝銀鉱(Ag2S, 立方晶系)に転移する。鉱脈鉱床から自然銀・濃紅銀鉱・淡紅銀鉱・ポリバス鉱・脆銀鉱・硫セレン銀鉱などの銀鉱物や黄鉄鉱・方鉛鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・方解石・石英などとともに産出。結晶形態にちなみ,ギリシア語のakantha(とげ,針)から命名。

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世界大百科事典(旧版)内の針銀鉱の言及

【輝銀鉱】より

…展性に富み,また小刀で切れる。173℃以下では針銀鉱(Ag2S。単斜晶系)の方が安定であり,輝銀鉱として晶出したものも,室温では針銀鉱に転移している。…

※「針銀鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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