針銀鉱(読み)シンギンコウ(英語表記)acanthite

デジタル大辞泉 「針銀鉱」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぎんこう〔‐ギンクワウ〕【針銀鉱】

硫黄からなる鉱物単斜晶系金属光沢のある黒色で軟らかい。セ氏173度で等軸晶系に転移し輝銀鉱になるが、両種を区別せず輝銀鉱とよぶことも多い。アカンサイト。Ag2S

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「針銀鉱」の意味・わかりやすい解説

針銀鉱
しんぎんこう
acanthite

銀の鉱石鉱物の一つ。179℃以上で結晶し、等軸晶系の外形をもつものを輝銀鉱、これより低温で結晶し、単斜晶系に属するものを針銀鉱とよんでおり、常温での原子配列はすべて針銀鉱型になっている。各種熱水鉱床に産し、黄鉄鉱黄銅鉱、方鉛鉱、閃(せん)亜鉛鉱、自然金などと石英脈中に産する。銀黒(ぎんぐろ)と俗称される高品位銀鉱石は、石英や長石を主とする細粒の石英脈中に微粒の針銀鉱などが含まれるものである。英名は、とげを意味するギリシア語のakanthaに由来する。この鉱物が針のような外観の結晶であることから名づけられた。

加藤 昭 2017年5月19日]

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世界大百科事典(旧版)内の針銀鉱の言及

【輝銀鉱】より

…展性に富み,また小刀で切れる。173℃以下では針銀鉱(Ag2S。単斜晶系)の方が安定であり,輝銀鉱として晶出したものも,室温では針銀鉱に転移している。…

※「針銀鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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