瀟湘八景図(読み)ショウショウハッケイズ(英語表記)Xiao-Xiang ba-jing-tu

デジタル大辞泉 「瀟湘八景図」の意味・読み・例文・類語

しょうしょうはっけいず【瀟湘八景図】[絵画]

室町時代画家相阿弥の作とされる紙本墨画の絵画
洞庭湖付近の八つの景勝地を描いた作品。京都大徳寺子院大仙院の方丈室中しっちゅうを飾っていた襖絵。現在は16幅の掛軸となっている。永正10年(1513)頃の作品と見られる。明治40年(1907)、国の重要文化財指定四季山水図
と同じ主題で、大仙院の方丈仏間須弥壇しゅみだんを飾っていた小襖絵。現在6幅の掛軸となっている。昭和39年(1964)、国の重要文化財に指定。

しょうしょうはっけい‐ず〔セウシヤウハツケイヅ〕【瀟湘八景図】

瀟湘八景を主題とする絵画。北宋時代の文人画家宋迪そうてきが創始したものとされ、王洪、牧渓もっけいらの作品が知られる。日本でも鎌倉時代前後から画題として好まれるようになった。狩野元信相阿弥池大雅横山大観といった画家の代表作にもこの画題がみられる。
[補説]作品名別項。→瀟湘八景図

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瀟湘八景図」の意味・わかりやすい解説

瀟湘八景図
しょうしょうはっけいず
Xiao-Xiang ba-jing-tu

中国,湖南省の洞庭湖の南方で瀟水と湘水が合流し,湖に注ぐ間の景勝地は瀟湘と呼ばれるが,その自然景を季節,時間,晴雨などの条件によって8つの主題 (山市晴嵐,遠浦帰帆,漁村夕照,洞庭秋月,瀟湘夜雨,煙寺晩鐘,平沙落雁,江天暮雪) に分けて描いたもの。五代,宋時代に早くも画題として取上げられた。北宋末,李成派の文人画家宋迪 (そうてき) は,この景勝を8つの画題として描き,八景図を描いたと伝えられる。八景はすべて半透明な大気を通して映し出された自然景であり,それを表現するのにふさわしい微妙な墨調,ことに淡墨の使用に特色があった。代表作は王洪筆『瀟湘八景図』 (プリンストン大学) ,伝牧谿筆『瀟湘八景図巻』断簡 (根津美術館ほか) 。日本でも室町時代にこれらの影響を受けて,宋元画風の瀟湘八景図が多数描かれた。

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