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火星人 かせいじん

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

火星人
かせいじん

火星に生息すると考えられた想像上の生物。古来、宇宙人に関する話は多くあるが、もっともよく知られるのは火星に高度文明を築いているという火星人についての話であり、日本でも明治から大正時代にかけて流行した。その存在をめぐって論争が展開され、結局、科学的にも存在は否定された。しかし論争のさなかはもちろん、論争が終わったのちもSFなどに繰り返し火星人は取り上げられ、長く影響を残した。このことは一般大衆にとって、とくに異星人(宇宙人)の存在が大きな関心の対象であることを示すものといえる。
 火星人存在説の根拠は、望遠鏡による眼視観測で、火星表面に南極から北極に至る細線運河状の網目が張り巡らされており、しかもそれが2本の線で構成されているという、人工的としか解釈できない模様が観測されたことによる。そして運河状の模様は、水の少ない火星で火星人が生きるために巨大な土木工事を行ったものと解釈された。細い筋(すじ)模様は1877年にイタリアのスキャパレリが発見し、カナリ(水路)と命名、これが運河と誤解されたのだという。
 日本文化の研究から天文学に転じたアメリカのローウェルは、とくに火星文明と火星人の存在を強く主張した。しかし細線運河そのものが疑われ、学界では少数派のまま終わった。小説の世界ではH・G・ウェルズの『宇宙戦争』はじめ多くの火星人を題材とする作品が書かれた。とくにウェルズはタコに似た姿形の火星人を想定し、その理由として、火星の表面重力の弱いこと、大気の薄いこと、脳が発達して他の諸器官が無用化しつつあること、などをあげた。[横尾広光]

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世界大百科事典内の火星人の言及

【宇宙人】より

…1835年に新聞《ニューヨーク・サン》が大望遠鏡による月人観測のうそ記事を掲載して大騒ぎとなり,77年にG.V.スキャパレリが火星の筋模様を発見し,P.ローエルが《火星》(1895)という本でそれを運河であると主張してからは宇宙人の存在に関する議論が絶えることはなくなった。それも長い間火星人に関心が集中し,H.G.ウェルズが《宇宙戦争》(1898)において,重力と酸素量の関係で〈タコ型〉の火星人を想像してからは,この形の宇宙人が人々に親しまれるようになった。やがて,火星に知的生物が存在しえないことがわかると,遠い恒星系の惑星に関心が移り,宇宙人の想像図も多様をきわめるものとなった。…

【火星】より

…19世紀半ばになるとスケッチなどに基づく火星地形図も整備されるようになり,19世紀末にはG.V.スキャパレリが運河状の模様があると指摘した。これが火星人による人工的なものではないかという議論の端緒となった。一方,物理観測としては,地表の温度が場所により大きく変わるといったことはすぐにわかったが,分光観測によって火星大気や地表の組成に対する手がかりが得られるようになったのは,第2次世界大戦後のことであり,とくに1965年のマリナー4号を初めとする探査機の活躍は,火星に関する知見をすっかり書き換えてしまった。…

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