灰鉄ざくろ石(読み)かいてつざくろいし(その他表記)andradite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「灰鉄ざくろ石」の意味・わかりやすい解説

灰鉄ざくろ石
かいてつざくろいし
andradite

ざくろ石の一種。スカルン、とくに接触交代型磁鉄鉱鉱床に伴うスカルンによく産する。そのほか、緑色片岩、超塩基性岩、アルカリ火成岩、熱水性鉱脈中に産する。斜方十二面体や偏菱(へんりょう)二十四面体の自形結晶をなすほか、塊状、脈状、粒状をなす。灰礬(かいばん)ざくろ石とは化学組成が連続し、中間成分に近いものは肉眼での区別が困難である。チタンに富む変種黒色に近く、メラナイト別名がある。チタンがさらに富み鉄を凌駕(りょうが)するとショーロマイトという別種となる。また水分を多く含み、加水灰鉄ざくろ石とよばれるものも存在する。英名は、ポルトガルの鉱物学者アンドラダJ. B. d'Andrada e Silva(1763―1838)に由来。和名は化学組成による。

松原 聰]


灰鉄ざくろ石(データノート)
かいてつざくろいしでーたのーと

灰鉄ざくろ石
 英名    andradite
 化学式   Ca3Fe3+2(SiO4)3
 少量成分  Fe2+,Al,Mn,Ti,H
 結晶系   等軸
 硬度    6.5~7
 比重    3.7~4.1
 色     緑,褐,灰黒
 光沢    ガラス
 条痕    白,帯緑白,帯褐白,灰黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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