普通の文字を点字に訳すこと。点字訳ともよぶ。点訳を行う人は点訳者とよばれる。
以前は点字の点を一つずつ紙に打ち込んでいたが、21世紀に入るとパソコンを使用しての点訳が主流となった。具体的には、点字1字分の6点をパソコンの六つのキーに割り当てて直接入力し、必要に応じて校正や読み合わせなどをした後、点字プリンターで出力する。アルファベット中心の言語表記を使う欧米においては、自動点訳が実用化されている。日本では漢字の読み方を自動処理することがむずかしく、確認や修正に労力が必要となるため、パソコンを使用する点訳であっても直接入力によるものが多い。
パソコン点訳は、1988年(昭和63)に日本アイ・ビー・エム社による社会貢献事業の一つとして始まった。その後、厚生労働省と日本点字図書館などが中心となり、インターネット経由で点字図書や録音図書のデータの登録、配信が可能な情報システムの整備を進めている。
[編集部]
…現在日本には大小約90の点字図書館(公立約70)があるが,そのうち最も規模の大きい東京の日本点字図書館は1940年全盲の本間一夫が自己の蔵書を元に創立した民間の社会福祉施設であり,点字図書5万9000冊,2万4900点,録音図書42万8000巻,1万1710点(1997現在)を所蔵している。一般図書館が購入図書の館内閲覧を主業務とするのに対し,おもな点字図書館は点字出版所を兼ねるとともに,点訳・朗読奉仕者を養成して点字・録音図書を作製し,読者への館外郵送貸出しを行う。近年は録音図書利用の伸びがめざましく,日本点字図書館の1996年度年間貸出数は点字4万冊に対し,録音図書30万5700巻に達している。…
※「点訳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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