吹替え(読み)フキカエ

デジタル大辞泉 「吹替え」の意味・読み・例文・類語

ふき‐かえ〔‐かへ〕【吹(き)替え】

貨幣や金属器具などを鋳なおすこと。改鋳
歌舞伎の早替わりなどで、両役が同時に舞台に出るとき、一方をその俳優に似せた他の俳優が演ずること。また、その身代わりの俳優。
映画テレビなどで、あるシーンだけ俳優の代役を務める人。替え玉スタンドイン
外国映画などのせりふを自国語で吹き込むこと。
[類語](3代役スタントマン/(4翻訳訳出訳する適訳名訳抄訳直訳和訳邦訳完訳全訳誤訳意訳逐語訳対訳重訳定訳新訳初訳改訳点訳翻案

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精選版 日本国語大辞典 「吹替え」の意味・読み・例文・類語

ふき‐かえ‥かへ【吹替・吹代】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ふきがえ」とも )
  2. 貨幣や金属具などを溶かして鋳直すこと。また、その鋳直したもの。ふきあらため。改鋳。
    1. [初出の実例]「先年吹替より以前之古金所持之者は、勝手次第新金と取交」(出典:御触書寛保集成‐三二・宝永七年(1710)四月)
  3. 歌舞伎の早替わりで、替わる両役が同時に舞台に登場する時、その俳優に似せた他の俳優を身がわりに用いること。また、その身がわりの俳優。
    1. [初出の実例]「楽屋より吹かへの久枩出来り」(出典:歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕)
  4. 歌舞伎で、死骸になったり投げ落とされたりする時、役者にかえて舞台に出す人形。竹かごの上を紙で細工し、衣装をつけてある。
    1. [初出の実例]「着てゐたる蓑を脱いで十次郎に冠せ、姿の見えぬやうにして、横抱きに抱へる。この時吹替へになる」(出典:歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)四幕)
  5. 転じて、一般に代わりのもの。替え玉。また、すりかえたもの。
    1. [初出の実例]「お前が内から拵へてござったふきかへの贋金」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油屋)
  6. 賭博(とばく)で、正しい札や采(さい)を不正なものと巧みに取り替えること。また、その不正な札や采。
    1. [初出の実例]「道理で二ぞろを十三ばい、吹かへでやりおった」(出典:浄瑠璃・歌枕棣棠花合戦(1746)三)
  7. 映画やテレビなどで、主役の代わりをつとめる俳優。替え玉。スタンドイン。
    1. [初出の実例]「今日の撮影、カマさんエノケンと二人ともフキ替え」(出典:夢声戦争日記〈徳川夢声〉昭和一七年(1942)五月二四日)
  8. 外国映画、テレビなどのせりふを自国語に翻訳して吹き込むこと。また、その声優。
    1. [初出の実例]「これはフランス語の吹きかえでベトナム語の字幕つきだ」(出典:ゴメスの名はゴメス(1962)〈結城昌治〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「吹替え」の意味・わかりやすい解説

吹替え (ふきかえ)

演劇・映画用語。(1)歌舞伎では,早替りの場合や,1人で演ずる他の役が同じ場面に同時に出るときなどに,他の役者(多くの場合下級役者)あるいは小道具の人形に同じ衣装・鬘(かつら)を着けさせて替玉にすること。また替玉の人および人形をもさしていう。いかに本物らしく見せ演技するかによって芝居の効果を高める。小道具としては,死骸や投げおとされる人など,またそれまで実際に用いていた物を壊す場合などに細工物の吹替えを使う。(2)映画やテレビで姿・形の似たものが主役などの代理をつとめることをいい,吹替えを専門の職業とする俳優もいる。スタンドインとも。また,外国映画やテレビのせりふを自国語にして吹き込むこと。またその声優。
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