六訂版 家庭医学大全科 「無芽胞嫌気性菌感染症」の解説
無芽胞嫌気性菌感染症
むがほうけんきせいきんかんせんしょう
Infections caused non-spore-forming anaerobic bacteria
(感染症)
どんな感染症か
嫌気性菌とは、酸素が存在すると死滅するような細菌です。このうち、バクテロイデスやペプトストレプトコッカスなどは無芽胞嫌気性菌と呼ばれ、
無芽胞嫌気性菌は、健康なヒトの皮膚や粘膜に広く存在(常在)しており、とくに消化管には、ほかの菌の合計より千倍も多く存在しています。
普段は無害で、ヒトと共生関係にあるともいえる無芽胞嫌気性菌が、体のなかで本来無菌状態であるべき部位(たとえば血管内や腹腔内)に入り込むことによって感染が成立します。このような感染の多くは、外傷や腹部外科手術後など、組織が
感染部位から
これは、好気性菌が酸素を消費することによって嫌気状態をつくり出し、それが嫌気性菌の増殖を促進するためと考えられています。
症状の現れ方
無芽胞嫌気性菌が血液中に入って増殖すると、
ほかに、ペプトストレプトコッカスによる糖尿病性
検査と診断
検査が簡単でないため、実際は無芽胞嫌気性菌感染症であっても見過ごされる場合が多いと考えられています。的確な診断が遅れると、治療に難渋することもあります。皮膚潰瘍でみられる
治療の方法
抗菌薬の投与が中心です。穿孔の閉鎖、排膿、潰瘍の
病気に気づいたらどうする
医師に相談してください。もともと自分がもっていた菌によって起こる内因感染です。周囲の健康な人ももっている菌ですから、患者さんから健康な人に伝染することはありません。
秋本 茂
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報