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熱帯農業 ねったいのうぎょうtropical agriculture

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世界大百科事典 第2版の解説

ねったいのうぎょう【熱帯農業 tropical agriculture】

南北両回帰線の間にはさまれた地域を主体とする熱帯域で営まれる農業。気温は一年中高く多雨で,とくに赤道の南北15゜の緯度の間では毎日短時間スコールがあり,年降雨量は2500mm以上に達する。雨が降っている間は雲量が多いので,日射量は日本の夏と大差なく,乾季,雨季がある南北両回帰線付近の地域の乾季に比べれば少ない。高温多雨であるので植物生産量はひじょうに多い。土壌の変異は大きく,良質の粘土をもち植物の利用可能な塩基を適度に含有する土壌,土壌溶液中のイオン濃度が高く作物が正常に生育できない高塩土壌,pHが高く植物の利用できる鉄,マンガン,亜鉛が少ないアルカリ性土壌,リン酸,カリ,マグネシウムの欠乏およびアルミニウム,マンガンの過剰をひき起こす酸性土壌など多様である。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

熱帯農業
ねったいのうぎょう
tropical agriculture

熱帯気候帯は、年平均気温が20℃以上、あるいは月平均気温が18℃を下がらない地域のことをいう。だいたい赤道を中心として南北両回帰線に挟まれた地帯をさし、このような地帯で営まれる農業が熱帯農業である。熱帯は一般に日照に恵まれ、高温で、降水量がかなり多く、多湿な気候条件にあるので、作物の生育は旺盛(おうせい)であるが、激しい溶脱作用のため、土壌はかならずしも肥沃(ひよく)であるとは限らず、病虫害の発生も多く、栽培作物にとって、ことに家畜の飼育にとっては支障をきたすことも少なくない。
 熱帯農業は、食糧自給的な農業と、市場向け熱帯特産品の生産農業とに分化した形で営まれてきた。前者は、先住民が、狭い耕地において未発達な技術で、家族労働に依存して小規模多種類の作物を栽培しているものである。栽培作物としては、イネ、キャッサバ、タロイモ、トウモロコシ、キビ、豆などがある。また、山間地では、伝統的に、先住民による焼畑式移動耕作が行われてきている。ここでは山林を伐採し、火をつけて焼き払った跡に、陸稲、キビ、トウモロコシなどを数年間栽培し、地力が衰えると、別の場所に移っていく。後者では、高い生産技術をもって、雇用労働に依存し、広い耕地で大規模に専作形態の輸出用農作物を生産する企業的形態の経営が多く、歴史的にはヨーロッパ人によって営まれ、企業的栽植農園(プランテーションまたはエステート農業)といわれてきた。栽培作物ではコショウ、サトウキビ、タバコ、ジュート、ワタ、バナナ、チャ、ゴム、コーヒー、カカオ、ヤシなどがある。
 しかしながら、このような熱帯農業が行われている地域の多くでは、第二次世界大戦後に独立国家の形成が行われ、経済的自立を目ざして開発が進められているので、農業の形態もしだいに変化してきている。とくに南アメリカやアフリカの高地では、安定した快適な気候に恵まれ、化学肥料や農薬を使用して集約的な農業を営むようになってきた所もある。[西村博行]
『山本正三他編『世界の自然環境』(1973・大明堂) ▽B・W・ホッダー著、山本正三・内山幸久訳『熱帯の経済開発』(1982・地人書房) ▽渡辺弘之他編『熱帯農学』(1996・朝倉書店)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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