片品(読み)かたしな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「片品」の意味・わかりやすい解説

片品(村)
かたしな

群馬県北部利根郡(とねぐん)にある村。尾瀬(おぜ)の南半分もこの村に属する。片品川流域で林業と雑穀栽培が盛んな山村。1920年(大正9)栗生(くりゅう)峠に栗生新道が開通して沼田(ぬまた)市との交通が便利になり、さらに尾瀬への登山者の激増や、金精(こんせい)道路(国道120号)の開通によって開けてきた。国道401号も通じる。白根丸沼、片品、花咲などの温泉や、民宿の急増した尾瀬戸倉(とくら)、尾瀬岩鞍(いわくら)、かたしな高原、オグナほたかなどのスキー場、菅沼(すげぬま)畔のキャンプ場など観光開発が進んだ。なお、尾瀬は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。面積391.76平方キロメートル、人口3993(2020)、人口密度1平方キロメートル当り12人弱(2015)で県下の過疎地域の一つ。中心集落は鎌田(かまた)。

[村木定雄]

『『片品村史』(1963・片品村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「片品」の意味・わかりやすい解説

片品[村] (かたしな)

群馬県北東端,利根郡の村。人口4904(2010)。新潟,福島,栃木の各県と接する。利根川支流,片品川の最上流域を占め,周囲は武尊(ほたか)山,至仏山,白根山など標高2000m級の山々にとり囲まれている。総面積の約90%が山林で,耕地は3%にすぎない。北部は尾瀬国立公園に含まれ,尾瀬ヶ原は日本最大の高層湿原として,特別天然記念物地域に指定されている。林業のほか,コンニャク,トウモロコシなどの畑作が行われる。かつては交通不便な山村であったが,国道120号線の整備や金精峠有料道路の開通(1965)によって沼田,日光との連絡が便利となり,観光開発が急速に進んだ。なお同有料道路は95年に無料開放。尾瀬探勝のハイカーが増加したほか,戸倉,片品,丸沼などのスキー場も整備され,片品,丸沼,白根などの温泉客も増加し,関東でも有数の山岳観光地となっている。過疎地域の指定を受けている。
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百科事典マイペディア 「片品」の意味・わかりやすい解説

片品[村]【かたしな】

群馬県北東端,利根郡の村。福島・栃木・新潟の各県に接し,白根山・至仏山・武尊(ほたか)山など著名な山々に囲まれ,片品川の源流となっている。北部の尾瀬ヶ原は国内最大の高層湿原としてあまりにも有名で,特別天然記念物に指定されているほか,尾瀬沼燧ヶ岳(ひうちがたけ)は多くの登山者を集めている。豊かな自然に恵まれ,白根山周辺が日光国立公園に,尾瀬周辺が尾瀬国立公園に属する。国道120号が片品川沿いから東部の金精(こんせい)峠を経て栃木県日光市へ通じ,国道401号の車道終点・大清水は尾瀬周辺をめぐる登山基地として知られる。積雪も多く,丸沼や武尊山麓にはスキー場が開設され,点在する温泉も含めて観光業が盛んである。391.76km2。4904人(2010)。

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