尾瀬国立公園(読み)おぜこくりつこうえん

日本大百科全書(ニッポニカ)「尾瀬国立公園」の解説

尾瀬国立公園
おぜこくりつこうえん

福島栃木・群馬・新潟の4県にまたがる山岳地帯に位置する国立公園。2007年(平成19)日光国立公園尾瀬地区を中心にした区域が、29番目の国立公園として指定を受けた。面積372.0平方キロメートル。尾瀬ヶ原尾瀬沼の2盆地、およびその周辺の燧ヶ岳(ひうちがだけ)や至仏山(しぶつさん)などを含む山岳部で構成されている。尾瀬ヶ原および尾瀬沼を中心とした地域はラムサール条約登録湿地となっている。

 尾瀬ヶ原は、もと燧ヶ岳の溶岩流が只見(ただみ)川をせき止めてつくった湖であったが、現在は面積約6.5平方キロメートルに及ぶ日本最大の山岳湿原となっている。5月中ごろにミズバショウ、7月中ごろにニッコウキスゲ、10月ごろは紅葉と季節ごとに美しい景観が楽しめる。観光客は湿原の中に敷設された木道の上を歩くようになっている。

 尾瀬沼は、燧ヶ岳の溶岩流によって沼尻(ぬまじり)川がせき止められてできた湖で、特別保護区に指定されている。また、北岸の大江(おおえ)湿原では、ワタスゲ、ニッコウキスゲ、タテヤマリンドウなどの高層湿原植物が繁茂している。

 燧ヶ岳は標高2356メートル、東北以北の最高峰である。尾瀬沼の北にそびえる成層火山で、特別保護区に指定されている。山頂からは尾瀬沼、尾瀬ヶ原が見渡せる。また、夏期でも残雪がみられ、山体を彩っている。

 至仏山は尾瀬ヶ原の南西にそびえ、標高2228メートル、特別保護区に指定されている。オゼソウ、シブツアサツキ、ホソバヒナウスユキソウなど高山植物の宝庫として知られ、それらを保護するため、毎年5月中旬から6月末まで入山禁止となる。

 そのほか、公園内には特別保護区などに指定されている会津駒ヶ岳田代山帝釈山などがある。

[編集部]

『武田良平著『尾瀬フィールド・ウォッチング』(1987・草思社)』『新井幸人写真、里見哲夫解説『新・尾瀬の植物図鑑』(2001・偕成社)』『白籏史朗著『定本尾瀬――その美しき自然』(2002・新日本出版社)』『尾瀬保護財団著『尾瀬自然観察ガイド』改訂第2版(2003・山と溪谷社)』『高田研一著『尾瀬の森を知るナチュラリスト講座――知られざる南尾瀬の大自然』(2006・山と溪谷社)』『前田信二著『尾瀬の自然図鑑――ネイチャーガイド』(2007・メイツ出版)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「尾瀬国立公園」の解説

尾瀬国立公園
おぜこくりつこうえん

群馬県北東部を中心に,新潟県福島県栃木県の一部にまたがる自然公園。面積 372km2。 2007年指定。日光国立公園尾瀬地域を中心に,駒ヶ岳および田代山,帝釈山の周辺地域を含む。尾瀬地域は尾瀬沼および尾瀬ヶ原を中心に燧ヶ岳(ひうちがたけ) ,至仏山,景鶴山などに囲まれた地域。一帯は日本最大の高層湿原で,ミズバショウニッコウキスゲなどの湿原植物が群生している。駒ヶ岳,田代山,帝釈山周辺地域は,帝釈山地帯のブナ林と亜高山帯のオオシラビソ林に覆われた森林景観を呈する。駒ヶ岳の山頂部の稜線には多くの池塘 (ちとう) を含む湿原や雪田草原が広がる。田代山山頂部の湿原は「天上の湿原」として有名。尾瀬は 1960年国の特別天然記念物に指定され,2005年ラムサール条約の登録湿地となった。 (→湿原 )

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知恵蔵「尾瀬国立公園」の解説

尾瀬国立公園

73年間、日光国立公園の一部だった尾瀬ヶ原や尾瀬沼が、2007年8月、分離独立した。国立公園を分けるのは初めてで、新たな国立公園は1987年の釧路湿原以来。面積は会津駒ヶ岳、田代山など1万2000ヘクタールが加わり、3万7000ヘクタール。湿原で知られる尾瀬だが、観光客は10年前の60万人以上から半減し、地元から「日光・尾瀬国立公園」の要望が出ていた。自然が豊かな尾瀬と、東照宮などの文化財で知られる日光との違いもあり、今回の独立となった。しかし、ミズバショウやニッコウキスゲで知られる尾瀬は、高山植物の群生の荒廃が進み、国の手当ては十分ではない。さらに数年前には山小屋の管理者自身の不法投棄問題も発覚した。観光客の増加を狙うことで起こる「尾瀬の危機」を心配する専門家も少なくない。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2008年)

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デジタル大辞泉「尾瀬国立公園」の解説

おぜ‐こくりつこうえん〔をぜコクリツコウヱン〕【尾瀬国立公園】

群馬県北部を中心に福島・新潟・栃木の4県にまたがる国立公園。尾瀬沼・至仏しぶつひうちヶ岳会津駒ヶ岳などがある。昭和9年(1934)に日光国立公園として国立公園に指定されたが、植生地形が栃木県の日光地区とは異なることから、平成19年(2007)に分離し、会津駒ヶ岳などを加えて独立指定された。

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