燧ヶ岳(読み)ヒウチガダケ

デジタル大辞泉 「燧ヶ岳」の意味・読み・例文・類語

ひうち‐が‐だけ【燧ヶ岳】

福島県南西部にある火山標高2356メートル。南麓尾瀬沼湿原がある。

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日本歴史地名大系 「燧ヶ岳」の解説

燧ヶ岳
ひうちがたけ

福島県の南西端、群馬・新潟両県境近くにあり、東北地方では最高峰円錐形火山。日光国立公園に属する。山頂部に径約八〇〇メートルの火口があり、火口壁には三角点(標高二三四六メートル)のあるまないたぐらをはじめ、柴安しばやすぐら・シノブチ岳・あかナグレ岳などが並ぶ。火口中央には溶岩円頂丘御池みいけ岳があり、頂上には噴気孔の凹地に湛水した池がある。山腹や山麓はブナミズナラトドマツコメツガなどの原生林に覆われ、山頂部は珍しい高山植物も豊富で眺望にも優れる。火山活動の記録はないが、燧ヶ岳の火山活動による溶岩で堰止められてできたといわれる尾瀬沼が南東にあり、南西には尾瀬ヶ原の湿原が広がる。寛文五年(一六六五)の伊南郷村々改帳(馬場家文書)檜枝岐村の項に「燧カ嶽」とみえ、「自山半腹頂ニ巌石ニ而草木不長」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「燧ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

燧ヶ岳
ひうちがだけ

燧岳(ひうちだけ)」ともいう。福島県南西部、南会津(みなみあいづ)郡檜枝岐村(ひのえまたむら)にある山で、東北以北の最高峰。群馬県境にある尾瀬沼(おぜぬま)の北にそびえる。古生層や花崗(かこう)岩類を基盤とし、その上に第四紀以降噴出した安山岩質溶岩がのる。山頂は柴安嵓(しばやすぐら)(2356メートル)、俎嵓(まないたぐら)(2346メートル)、ミノブサ岳、赤ナグレ岳の4峰からなり、そのほぼ中央に円錐(えんすい)形の中央火口丘御池(みいけ)岳がある。尾瀬沼や尾瀬ヶ原は、燧ヶ岳の溶岩流が只見川(ただみがわ)上流をせき止めてつくったものである。山腹、山麓(さんろく)の緩斜面には、豊富な残雪の影響で田代(たしろ)とよばれる湿原が無数に散在している。登山道も整備されている。長く日光国立公園の主要部の一つであったが、2007年(平成19)8月に、尾瀬地区が日光国立公園から分離して、新たに尾瀬国立公園が成立した際に、尾瀬国立公園域に入った。

[中村嘉男]


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百科事典マイペディア 「燧ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

燧ヶ岳【ひうちがたけ】

福島県南西端にある活火山。燧岳とも。標高2356mで,東北地方の最高峰。北の古い成層火山と,南の溶岩円頂丘からなる。花コウ岩を基盤とする安山岩からなり,放射谷により開析されている。17世紀より燧ヵ嶽とみえ,駒ヵ嶽明神などが祀られていた。只見川の源流部にあたり,南東に堰止(せきとめ)湖の尾瀬沼がある。尾瀬国立公園に属する。
→関連項目尾瀬尾瀬ヶ原片品[村]日本百名山檜枝岐[村]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「燧ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

燧ヶ岳
ひうちがたけ

福島県南西端,尾瀬沼の北部にそびえる成層火山(コニーデ)。標高 2356m。東北地方の最高峰。活火山で,山頂には五つの独立峰が分立し,直径約 800mの火口がある。南と西斜面に流出した溶岩只見川上流をせき止め,尾瀬沼と尾瀬ヶ原の湿原を形成。只見川流域に三条ノ滝,平滑ノ滝がある。標高 1500mまではブナ林,2000m付近まではオオシラビソを主とする亜高山針葉樹林帯,山頂付近はハイマツミヤマハンノキの低木群落と,植物相が変化する。尾瀬国立公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「燧ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

燧ヶ岳 (ひうちがたけ)

福島県の南西端,南会津郡枝檜岐(ひのえまた)村にある火山。群馬・新潟両県との県境に近く,東北地方の最高峰。山頂部に径800mの火口があり,火口壁には三角点(2346m)のある俎嵓(まないたぐら)をはじめ,柴安嵓,ミノブチ岳,赤ナグレ岳などが並ぶ。火口中央には溶岩円頂丘の御池岳(2260m)があり,頂上には噴気孔の凹地に湛水した池がある。火山活動の記録はない。山腹や山麓はブナ,ミズナラ,トドマツ,コメツガなどの原生林におおわれ,山頂部は高山植物が豊富で眺望にもすぐれる。燧ヶ岳南西方には尾瀬ヶ原が広がり,東南方には尾瀬沼がある。
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世界大百科事典(旧版)内の燧ヶ岳の言及

【尾瀬ヶ原】より

…1960年特別天然記念物に指定された。湿原は至仏山,大白沢山,景鶴山,燧(ひうち)ヶ岳など標高2000m級の山々に囲まれて細長い三角形をしており,標高は1400m内外で,原を貫流する沼尻(ぬしり)川,只見川,ヨッピ川などの河川により東から下田代,中田代,上田代,背中アブリ田代などに分断されている。尾瀬沼から流れてきた沼尻川と,原を北東に流れるヨッピ川は合流して只見川となり,原の北東端で平滑(ひらなめ)ノ滝および三条ノ滝となって落下し,北流する。…

※「燧ヶ岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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