群馬県と福島県との県界にある湖。北西にそびえる燧(ひうち)ヶ岳火山の噴出物による堰止湖で,アオモリトドマツを主とする針葉樹林帯の中にあり,湖面標高は1660m前後,面積約1.84km2。湖の北側に大江,浅湖(あさみ),沼尻(ぬしり)などの湖の一部が陸化してできたと思われる湿原が広がる。湖水は北西の沼尻から沼尻川へ流出し,尾瀬ヶ原を経て只見川となる。また南端の三平下から東電導水路によって片品川の支流ナメ沢へ流出しており,東京電力の利水のため年間3mの水位変動がある。湖は11月末~12月上旬より5月半ばまで結氷する。水深は北岸大入洲南西,湖のほぼ中央で最も深く,豊水期(5~6月)に9m強である。1950年8月と72年8月の水温,水質を比較すると,透明度,水温,pHはいずれもあまり差がないが,溶存酸素は72年には湖底で0になっている。全体としてみると72年の尾瀬沼の水質は以前とそれほど変わっていないが,入山人口の増加によると思われる水質遷移の徴候がみられる。例えば植物プランクトンは1950年8月の調査ではDinobryonが主体で浮遊性ケイ藻がなかったとされていたが,72年6~10月の調査では7月にDinobryon divergensが,他の月にはケイ藻類(Melosira ambigua,Asterianella fermosa,Synedra acusなど)が優占している。1952年8月の最深部での採泥によると,湖底堆積物の表面から18cmと19cmに榛名山二ッ岳起源と思われるテフラ(火山灰などの降下火砕物)が挟在する。西方の尾瀬ヶ原とともに日光国立公園(2007年尾瀬国立公園として分離)に属する。
→尾瀬ヶ原
執筆者:阪口 豊
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