母乳と,母乳以外の乳汁(現在の日本では育児用調製粉乳を用いたミルクがほとんどであるが,まれに牛乳,豆乳,ヤギ乳などが用いられることがある)の2種類を組み合わせて行う乳児の栄養法。母乳不足で,足りない分を補うため,あるいは母の就労,外出などで直接授乳ができないときに,母乳の代りとして,哺乳瓶によって人工乳を与えることが必要になる。混合栄養の方法として,母乳不足の場合は,授乳の都度,まず母乳を10分間のませたのち,欲するだけ人工乳を与える方法,母乳分泌が悪いと考えられる時間帯を,人工乳で補う方法などがある。
いずれにせよ,混合栄養をはじめると,母乳の分泌は確実に減少するから,徐々にミルクの量,授乳回数が増え,やがて人工栄養に移行することが多い。母乳不足が考えられたときは,まず母乳の分泌をよくするための努力を十分にすべきで,多くの場合,適切な指導と努力によって母乳不足が解消するはずである。母乳栄養を続けるための努力を尽くしてのち,やむをえない場合にのみ混合栄養に移ることになるが,母乳育児を成功させるためには,決して安易に行うべき栄養法ではない。
→母乳
執筆者:澤田 啓司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
母乳と母乳以外の乳汁成分(主として育児用調整粉乳――人工乳)による栄養法。母乳分泌不足や、母親が就労などのため直接授乳が困難な場合に、母乳に人工乳を追加して与える栄養法である。
母乳分泌不足の場合、どのように人工乳を追加すべきかが問題となる。母乳の分泌は吸啜(きゅうてつ)による乳首への刺激によって促されるため、母乳分泌不足がみられ始めた当初は、まず母乳を与え、ついで不足分を追加乳として哺乳瓶(ほにゅうびん)から与える。この場合は、乳児の吸啜力が哺乳開始当初にもっとも強いため、分泌の悪い乳房から授乳するとよい。生後2、3か月を過ぎた乳児は、母乳と人工乳の区別がわかるようになるため、授乳時間ごとに母乳か人工乳かの一方だけを与えるほうが望ましい。とくに睡眠後は母乳分泌が豊かであることに留意する。
母乳分泌不足の場合には、安易に人工乳に依存しようとせず、まずは分泌を促す努力をすべきである。
[帆足英一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…病原性バクテリアの多くもこの型である。この2型は両極端の典型的な栄養型であるが,鞭毛虫類やバクテリア類にはこれらの中間の栄養型(混合栄養)を示すものが多い。緑色植物でもヤドリギのように他の植物に寄生したり,食虫植物のように昆虫を消化したりして有機物を摂取するものもある。…
…また,飲み残したミルクを次にまわしてはいけない。
[混合栄養]
母乳と調製粉乳の両方で栄養を行うことを混合栄養という。これには,(1)母乳を与えた後で,毎回あるいは不足したときにミルクを補う方法,(2)1日数回,母乳栄養のみで授乳を行い,母乳とミルクを交互に与える方法の2通りがある。…
…母乳分泌がよくなると,自然に約3時間ごと,1日およそ8回の授乳になる。(3)混合または人工栄養 生後1週間たっても体重が減りつづける場合,または2週間たっても生まれたときの体重にもどらない場合は母乳不足を考え,人工栄養を追加して混合栄養を行う。市販の育児用調整粉乳(粉ミルク)を用いるのがよい。…
※「混合栄養」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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