( 1 )モロコシ(蜀黍)の上にトウ(唐)を冠したもの。本来、モロコシも中国の意であるから、さらにトウを付けるのは不自然だが、先に日本に渡来したモロコシの語源が忘れられ、後に渡来した「玉蜀黍」が「中国から伝わった蜀黍」として命名されたものか。また、トウモロコシという語形は、現代では関東を中心に分布しているが、その北隣にトウキビ系の語が、西隣にモロコシという語形が分布するので、この二語系の混淆とも考えられる。
( 2 )中国経由で日本に渡来したかどうかは明らかでなく、挙例の「本朝世事談綺」のように南蛮渡来と考えるものもある。そのため、ナンバンキビをはじめとする、ナンバンを冠した語形も多くある。
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報