イデアルティプスの訳語。マックス・ウェーバーの社会科学方法論の基本的概念として有名。もともとことばとしてはイェリネックに由来するが、ウェーバーにおいては規範的意味はまったくもたず、純粋に方法的概念として用いられている。したがって、しばしば行われるように、このことばを理想型と訳するのは適当ではない。ウェーバーによれば、社会科学的認識は「経験的現実の思惟(しい)による整序」を目ざすものであるが、「現実をその文化意義と因果連関において認識する」ことを具体的な目的とする。ウェーバーは、基本的にはリッケルトの価値関係的、個性記述的という文化科学の規定から出発しながら、さらにそれを発展させ、単に個性の記述にとどまることなく、文化や社会の個性的特質を普遍的連関と歴史的な形態においてとらえようとする。そのための具体的方法論として構想されたのが理念型論であった。理念型概念は、まず特定の観点を一面的に強調して取り出し、次にこの観点から選択された個別現象を一つの統一ある思惟像に結合することによって得られる。したがってそれは、現実そのものの断片でも模写でもなく、そのままの形では現実のうちにみいだされることはない。このような意味でユートピア的ともいえる性格を、ウェーバーは理念的ということばで表現しているのである。こういう理念型の人為的構成物としての概念性格は、あるべき理想とか模範という意味をもたず、むしろ現代の経済学や心理学で使われるモデル概念に通じるものをもっている。
ところで、ウェーバーにとって、理念型の構成は目的でなくて手段であった。それは、個性記述の一義的表現手段となるだけでなく、客観的可能性とか適合的連関といった発想とセットになった「因果帰属」の論理に組み込まれ、比較史的方法の手段として、仮説構成に方向を与え、より普遍的認識を引き出すための「発見的価値」をもつとされる。合理化の進展に対してプロテスタンティズムの「世俗的禁欲」が促進的に、他の世界宗教の経済倫理が阻止的に働くことを比較分析した『宗教社会学論集』(1920~21)などにそのみごとな実例をみることができる。『経済と社会』(1921~22)では、これまでの具体的理念型にかわって経済行為や支配の類型などへの抽象的理念型が前景に出てくるが、理念型が、「普遍化的補助手段」として歴史と社会学を媒介する重要な役割を果たしていることに変わりはない。
[徳永 恂]
『林道義著『ウェーバー社会学の方法と構想』(1970・岩波書店)』▽『M・ウェーバー著、濱島朗・徳永恂訳『ウェーバー 社会学論集』(1971・青木書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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