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環境ホルモン かんきょうほるもんenvironmental hormones

知恵蔵の解説

環境ホルモン

生体の内分泌系を攪乱させるホルモン作用を持つ化学物質。1996年に米国のシーア・コルボーンらが『奪われし未来』を出版し環境ホルモン問題を提起、世界的に注目された。環境中に存在する化学物質が、生体のホルモン作用を攪乱するために、生殖機能を阻害したり、悪性腫瘍を引き起こす可能性があると指摘する。98年に環境庁(当時)は、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、ノニルフェノールビスフェノールAフタル酸エステル類など67物質を環境ホルモンと疑われるとしてリストアップしたが、その約3分の2は農薬類だった。その後、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールAのホルモン作用が確認されたが、2005年に環境省は、67物質リストを「環境ホルモンの誤解を与える懸念がある」として廃止した。

(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

環境ホルモン

動物の体内で合成・分泌されて成長や生殖を調整しているホルモンに似た働きをする環境中の化学物質。生体内に取り込まれるとホルモンの正常な作用を乱すことから、内分泌攪乱化学物質とも呼ばれる。微量で生殖機能や成長、性決定などに悪影響を及ぼし、将来世代の減少を招く恐れもあるとされている。

(2011-01-13 朝日新聞 夕刊 環境)

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デジタル大辞泉の解説

かんきょう‐ホルモン〔クワンキヤウ‐〕【環境ホルモン】

environmental hormone》生体内にとりこまれると、ホルモンに似た働きをする化学物質の総称。ダイオキシンPCBDDTなどが挙げられる。特に、生殖機能への影響が問題になっている。正式には「内分泌攪乱(かくらん)化学物質」という。

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百科事典マイペディアの解説

環境ホルモン【かんきょうホルモン】

プラスチックや農薬など多くの工業製品に含まれ,生体のホルモンになりすまして生殖や性の発達を攪乱(かくらん)する化学物質。〈内分泌攪乱物質〉〈内分泌攪乱化学物質〉ともいう。
→関連項目セックスレス夫婦パラチオン

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リフォーム用語集の解説

環境ホルモン

外因性内分泌かく乱化学物質。動物の生体内に取り込まれた場合に本来その生体内で営まれる正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質。内分泌かく乱作用が疑われている多くの物質の中で建築に関係したものとしては、プラスチック製品に含有されている酸化防止・可塑剤などの化合物などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんきょうホルモン【環境ホルモン environmental hormones】

環境中に存在し,生体にホルモン類似の作用を及ぼす化学物質の総称で,正式には内分泌攪乱化学物質endcrine-disrupting chemicalsと呼ばれる。20世紀後半から野生動物および人間でオスの生殖能の低下をはじめとするさまざまな生殖異常の増加が報告されるようになり,その原因究明の過程で,多くの環境ホルモンの影響が明らかになってきた。1950年代にDDT,60年代にはPCBが,いずれもエストロゲン類似の作用をもち,生殖異常を引き起こすことが示された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

環境ホルモン
かんきょうホルモン

内分泌攪乱物質」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

環境ホルモン
かんきょうほるもん

正式には「内分泌攪乱化学物質」といい、生活環境中にあり、生物の生殖機能を乱すホルモン作用のある物質をさす。生物界で近年観察されているオスのメス化や生殖行動異常の原因ではないかと疑われている。1996年に出版された警告の書『奪われし未来』が、この問題が注目される発端になった。この本では、魚など動物の世界的な異常現象と、微量なホルモン作用物質であるダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)、プラスチック材料のビスフェノールAやフタル酸エステル、船底材料のTBTなどとの汚染の関連を示唆するさまざまな研究を結びつけている。現在では約70種の化学物質が環境ホルモンと見なされている。極端な研究者は「環境ホルモンのために人類は滅ぶ」とまで警告している。建設省(現国土交通省)が98年、全国の主要河川で八つの環境ホルモンについて調査をしたところ、66%で一つ以上が検出されたという。また、デンマークのスカケベックは人間の精液1ミリリットル中の精子の数が50年間に半減したと報告、世界的に関心が高まり研究が始まっているが、まだ確実な証明はほとんどない。たしかに貝や魚、カエル、ワニなどのオス、メスの混乱現象や異常の一部はTBTや農薬成分の影響と見なされている。しかし、もともと魚はホルモンで性がかわりやすい生物だし、人間の精子数にしても変動が大きく、変化はないとの報告もある。ましてなにが原因かなどはこれからの研究課題である。[田辺 功]

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