環境保全型農業(読み)かんきょうほぜんがたのうぎょう

百科事典マイペディア「環境保全型農業」の解説

環境保全型農業【かんきょうほぜんがたのうぎょう】

農薬化学肥料などによる土壌の荒廃を最小限にとどめ,自然の生態系を生かして作物を作る農業。これからの日本の農業政策の重要なと位置づけられており,1994年農林水産省の〈環境保全型農業推進の基本的考え方〉の中で〈農業のもつ物質循環機能を生かし,生産性との調和などに留意しつつ,土づくり等を通して化学肥料,農薬の使用等による環境負荷軽減に配慮した持続的な農業〉と定義された。なお,有機農業も環境保全型農業の一形態として認めているが,これに対しては有機農業者の団体や消費者団体から有機農業の基準があいまいだとの批判が強い。 通常の栽培方法に比べると,労力の増大,病害虫被害の増加,不安定な需要・販路,収量・品質の低下などの課題があり,消費者ニーズの高まりに十分こたえうるほどの生産体制は整っていない。農林水産省の環境保全型農業調査では,農協の推進・指導で環境保全型農業を行った率は54%にのぼったものの,1995年10月1日から1年間に環境保全型農業を行った稲作農家は10万7300戸で,稲作農家全体の5%にすぎなかった。一方,環境保全型農業を支える土づくりでは,家畜のふん尿を有機資源としてリサイクルし,堆肥として利用する体制が各自治体などで整備されるようになっている。
→関連項目アイガモ農法

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知恵蔵「環境保全型農業」の解説

環境保全型農業

農水省の定義は、「農業のもつ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」。化学肥料・農薬の削減量に応じてタイプ分けしているが、有機農業や、合鴨などを使う生物稲作もその一形態に位置付けられた。他方、食料・農業・農村基本法は自然循環型農業の推進を掲げ、その実現手段として持続農業法などいわゆる農業・環境三法を定めた。持続農業法による認定を受けたエコファーマーは、2001年の1126人から03年の2万6233人、05年7万5699人と急増し、ついに07年には12万7266人と10万人を大きく超えた。

(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「環境保全型農業」の解説

環境保全型農業
かんきょうほぜんがたのうぎょう
Agriculture of Environmental Conservation Type

環境に配慮した農業で,農水省が 1992年6月に策定した「新しい食料・農業・農村政策」でうたわれた。環境負荷の低減農村の公益的機能の維持・増進をおもな柱とする。環境負荷の低減では,農薬使用量などの削減や畜産廃棄物の堆肥化,ビニルなど農業廃棄物の節減リサイクルを目標とする。農村の公益的機能では,水田がもつ保水力の評価などが進められている。また,農薬の削減で曲ったキュウリなど形の悪い作物ができるため,消費者の需要体制作りにも着手している。しかし,生産者からは農薬を削減する分,手間がかかることなどが指摘されている。

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農業関連用語「環境保全型農業」の解説

環境保全型農業

「環境保全型農業の基本的考え方」(平成6年4月農林水産省環境保全型農業推進本部)によれば、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和に留意しつつ、土づくり等を通じて、化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」と定義されており、地域の慣行(地域で従来から行われている方法)に比べて農薬や化学肥料の使用量を減らしたり、堆肥による土づくりを行うなど、環境に配慮した農業をいう。

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農林水産関係用語集「環境保全型農業」の解説

環境保全型農業

農業の持つ物質循環機能を活かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業(「環境保全型農業推進の基本的考え方」(平成6年4月農林水産省環境保全型農業推進本部)。

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