日本大百科全書(ニッポニカ) 「環境再生保全機構」の意味・わかりやすい解説
環境再生保全機構
かんきょうさいせいほぜんきこう
環境問題に幅広く対応するための政策実施機関。独立行政法人環境再生保全機構法(平成15年法律第43号)に基づき、2004年(平成16)に設立された環境省所管の独立行政法人。英語表記はEnvironmental Restoration and Conservation Agency、略称はERCA。所在地は神奈川県川崎市幸(さいわい)区大宮町。1974年(昭和49)に設立された公害健康被害補償協会(1988年に公害健康被害補償予防協会と改称)と1965年に設立された公害防止事業団(1992年に環境事業団と改称)とが統合して発足した。
環境再生保全機構の目的は、公害にかかわる健康被害の補償および予防などにより、環境の保全を図り、国民の健康で文化的生活を確保することである。この目的に沿って行われるおもな業務は以下のとおりである。(1)公害健康被害の補償等に関する法律(昭和48年法律第111号)に基づき、公害健康被害の補償および予防を行う。これは大気汚染の原因となる装置の設置者から補償給付に必要な費用を徴収し、発生地域の自治体に給付するものである。また、公害健康被害予防基金を設けて予防事業にも取り組む。(2)民間の非営利団体(NGO、NPO)の環境保全活動へ助成金の交付などの支援、およびその活動の振興に必要な調査・研究、情報収集、研修を行う。(3)ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理助成業務。PCBの早期処置が求められており、処理業者に対して処理費用の軽減や安全性確保の研究などの助成を行う。(4)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づき、最終処分場維持管理積立金の管理を行う。(5)石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)に基づき、健康被害者の認定と救済給付の支給を行う。以上のほか、旧環境事業団から継承した債権の管理およびその回収事業も行っている。
[編集部]