日本大百科全書(ニッポニカ) 「璽光尊」の意味・わかりやすい解説
璽光尊
じこうそん
(1903―1984)
大正・昭和期の宗教家。璽宇(じう)教教祖。岡山県御津(みつ)郡の農家に生まれる。本名長岡良子(ながおかながこ)。日中戦争中、大本(おおもと)教系の宗教団体菊花会の影響を強く受けたといわれ、敗戦直前の1945年(昭和20)6月に「世を救う神、璽(たま)の光、救世の仏」との神示を受けたという。同年10月、世直しを宣言し、翌1946年に金沢に本部を置いて天災地変を予言し、一躍入信者が続出した。食管法違反で検挙されたが、金沢医大で妄想性痴呆(ちほう)症と鑑定され、釈放された。その後マッカーサー、皇族等へ璽宇皇居への「参内」を命ずる神示を送るなど、その言動は当時のジャーナリズムをにぎわした。その後同教は閉鎖性を強め、ほとんど宗教活動を行わなかった。
[村上重良 2018年6月19日]