呉清源(読み)ゴセイゲン

デジタル大辞泉 「呉清源」の意味・読み・例文・類語

ご‐せいげん【呉清源】

[1914~2014]囲碁棋士九段。中国福建省の生まれ。昭和3年(1928)来日。昭和8年(1933)木谷きたに実とともに速度中央への勢力を重視する「新布石」を発表し、注目を集める。十番碁で岩本薫橋本宇太郎ら一流棋士をことごとく破り、棋界一の実力者と称された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「呉清源」の意味・わかりやすい解説

呉清源
ごせいげん
(1914―2014)

棋士。日本棋院名誉客員。中国福建省生まれ。本名は泉、清源は字(あざな)。父は清(しん)朝の役人。12歳のとき、北京(ペキン)を訪れた岩本薫(1902―1999)六段に3子置いて勝ち、一躍天才少年の名を高めた。1928年(昭和3)来日、瀬越憲作(せごえけんさく)(1889―1972)(名誉九段)に入門し、1929年飛付(とびつけ)三段を許される。1933年本因坊秀哉(しゅうさい)(1874―1940)名人に先で対局、三々(さんさん)・星(ほし)・天元(てんげん)の布石を打って反響をおこし、また木谷実(きたにみのる)とともに「勢力」を主眼とした新布石法を開拓して注目を集めた。1939年から1956年の間に、当時の最高段者木谷実、高川格(かく)、藤沢朋斎(ほうさい)(1919―1992)、坂田栄男(えいお)らを十番碁で連破し、昭和碁界の実力第一人者の名をほしいままにした。1984年現役引退。門下に林海峯(りんかいほう)(1942― )九段がいる。

[河野直達]

『『呉清源打碁全集』全4巻(1973~1974・平凡社)』『『呉清源回想録 以文会友』(1984・白水社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「呉清源」の解説

呉清源 ご-せいげん

1914-2014 昭和時代の囲碁棋士。
1914年5月19日生まれ。昭和3年14歳で来日,瀬越(せごえ)憲作に入門。8年木谷実とともに新布石を発表。14年から打ち込み十番碁で木谷実,雁金(かりがね)準一,藤沢朋斎,橋本宇太郎,岩本薫,坂田栄男(えいお),高川格らを破る。33年,36年日本最強戦で優勝するなど,実力第一人者といわれ,「昭和の碁聖」と称された。25年9段。54年日本国籍を取得。59年引退。門下に林海峰。平成26年11月30日死去。100歳。27年囲碁殿堂入り。中国福建省出身。本名は泉。著作に「以文会友」。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「呉清源」の意味・わかりやすい解説

呉清源
ごせいげん

[生]1914.5.19. 中国,福建
[没]2014.11.30. 神奈川,小田原
囲碁棋士。少年期から中国の北京碁界で天才棋童として名が高かった。1928年に 14歳で渡日,瀬越憲作門下に入った。3局の試験手合で日本棋院から「飛びつき3段」を許され,1930年から大手合に参加。1933年秋,木谷実とともに新布石(→布石)旋風を起こした。1936年日本に帰化。1939年木谷との対戦以来,読売新聞主催の「打ち込み十番碁」を主として活躍。1942年 8段。第2次世界大戦後は日本棋院を離脱して読売新聞と特約関係に入り,十番碁で一流棋士をことごとく打ち込んだ。1950年日本棋院から 9段を贈られた。戦後中国籍に戻ったが,1979年に日本国籍を再取得。1988年日本文化界囲碁代表団の名誉顧問として中国を訪れて大歓迎を受けた。日本棋院名誉客員棋士。弟子に林海峰 9段がいる。主著『呉清源打碁全集』(全4巻,1973~74)。(→

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百科事典マイペディア 「呉清源」の意味・わかりやすい解説

呉清源【ごせいげん】

囲碁棋士。9段。中国福建省の生れ。本名呉泉。才能を見出されて1928年来日,瀬越憲作門下となる。木谷実と並んで新布石を創始し,布石理論に革命をもたらした。第2次大戦後,主要棋士との十番碁にすべて勝ち,日本棋院から独立して活躍。著書に《呉清源全集》15巻がある。

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世界大百科事典(旧版)内の呉清源の言及

【碁】より

…多少の曲折はあるものの,以後の碁界は日本棋院と,50年橋本宇太郎を総帥として独立した関西棋院とを軸として動いていく。
[現代の名棋士]
 昭和前半の碁界は,1928年来日した北京生れの呉清源(1914‐ )の活躍が目を引く。33年木谷実(1909‐75)とともに世に問うた〈新布石〉はそれまでの布石の常識を根底から揺さぶり,碁に新しい座標を与えた。…

※「呉清源」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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