中学校や高校に置かれる生徒による自治的な組織で、学校生活の改善や社会参画活動に取り組む。学習指導要領によると、学校生活の充実と向上を図るための諸問題の解決に向け「自主的、実践的」に取り組み、資質を育むことなどが目的。原則として、会長ら役員は全校生徒による投票で決定する。軍国主義的な教育に対する反省と民主的な市民育成のため、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)の関与の下、各地で活動が盛んになったが、その後低迷。形骸化が指摘されている。
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理念的には,民主的な市民の一員となりうるように中等学校に組織された全員加入の自治組織。小学校には児童会と呼ばれる組織がある。それは,生徒の学校生活上の諸問題の自治的解決を行いつつ,学校運営への生徒参加を組織していくものとされているが,現実は往々にして学校の非民主性のために理念どおりに展開されているとはいえない。生徒の自治活動と学校運営への生徒参加が教育課程のなかにとりこまれるようになったのは,20世紀初頭のアメリカにおいてである。当時のアメリカでは,中等教育の大衆化が進展し,その性格がエリート養成から市民形成へと変わりつつあった。こうした動向のなかで,民主政治を模した生徒の学校生活を組織した〈学校市school city〉や,不良少年の矯正施設の〈少年共和国junior republic〉の実験が契機となり,学校運営への参加を目的とする〈生徒会議student council〉が,市民形成に意味あるものとして教育課程化された。こうしたアメリカの経験が第2次大戦後の教育改革のなかで日本に導入され,戦前の校友会,戦中の学校報国団が改組されて,生徒自治会が各学校に組織された。戦後の学校民主化のなかで,東京の四谷第六小学校,京都の旭丘中学校,高知の高校生徒会連合などにみられるような民主的な自治活動が発展したが,教師の勤務評定が実施されはじめた1955年以降から,自治活動への校長拒否権の発動や管理的統制が行われるようになり,生徒会はしだいに学校管理に従属する傾向をもつようになった。学校運営への生徒参加は,教育的理由によるのか,生徒の権利によるのかという問題は,戦後教育改革のなかでも論議されたが,1970年前後の学校紛争のなかで世界的に論議の的となった。フランス,イタリアでは,中等学校の生徒は権利として生徒参加を獲得したが,日本では否認された。こうしたなかでも,生徒集団の民主的形成にとり組む集団づくりの実践をつうじて,生徒自治の復権,自治能力の形成を進め,学校の民主化と生徒参加の実現を追及する試みが重ねられている。
執筆者:竹内 常一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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