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代理出産 だいりしゅっさんsurrogate birth

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

代理出産
だいりしゅっさん
surrogate birth

妻以外の女性の卵子子宮,あるいは子宮のみの提供を受けて出産すること。前者は,妻の卵子と子宮に問題があるときに夫の精子第三者の女性に人工授精し,妻に代わって妊娠・出産させるもので,妻と子供に遺伝的関係はない。後者は,妻が子宮を失うなどしても正常な卵子をつくれるとき,夫婦の精子と卵子を体外受精させ,その受精卵を第三者の女性に移植して出産させるもので,夫婦と子供に遺伝的関係がある。通常,前者を代理出産,第三者の女性を代理母と呼び,後者を借り腹(貸し腹)と呼ぶ。生殖技術の発展により 1970年代後半から行なわれるようになったが,日本では法的整備が進んでおらず,日本産科婦人科学会は代理出産を禁止している。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

代理出産

子宮を失ったり、元々なかったりする女性に代わり、別の女性(代理母)が子どもを産む方烹計5例の実施を公表した根津院長は「他にも公表せずに手がけている医師が国内にいる」と言う。日本産科婦人科学会は会告(指針)で、会員医師の実施やあっせんを禁止。生殖医療の法整備に向けた厚生労働省の専門部会も03年の報告書で禁じたが、法案は未提出だ。米国など容認する国に渡り、代理出産で子を得るカップルも少なくないといわれるが、多くはその事実を隠し、実子として出生届を出しているとされる。代理出産を公表した向井さんと元プロレスラー高田延彦さんの子について実子と認めた東京高裁判決や、根津院長が母親による娘のための代理出産を公表したことをきっかけに、柳沢厚労相ら閣僚から改めて検討が必要とする発言が出ている。

(2006-10-21 朝日新聞 朝刊 オピニオン1)

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デジタル大辞泉の解説

だいり‐しゅっさん【代理出産】

不妊夫婦の依頼で、妻以外の女性に妊娠、出産してもらうこと。体外受精した受精卵を第三者の女性の子宮に入れ出産してもらう場合と、第三者の女性が人工授精を行って出産する場合とがある。代理母出産代理懐胎。→代理母

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百科事典マイペディアの解説

代理出産【だいりしゅっさん】

卵子銀行

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大辞林 第三版の解説

だいりしゅっさん【代理出産】

不妊の夫婦が第三者の女性に子どもを産んでもらうこと。夫婦の体外受精卵を第三者の子宮に注入する方法と、夫の精子を第三者の女性に人工授精させる方法がある。 → 借り腹代理母

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

代理出産
だいりしゅっさん

生まれた子を引き取り、自分の子として育てる目的で、第三者の女性に妊娠し出産してもらう行為。そうした慣行はさまざまな社会で古くからあるが、現在は、体外受精などの生殖技術を介して行うものに限っていうのが普通である。代理母、代理懐胎ともいう。島次郎]

代理出産の類型

用いられる生殖技術の組合せにより、代理出産には次のような類型がある。
(1)代理出産する女性に直接、依頼夫婦の夫の精子を人工授精する。
(2)依頼夫婦の精子と卵子を体外受精させた受精卵を代理出産女性の子宮に移植する。
(3)別の第三者の女性から提供された卵子と、依頼夫婦の夫の精子を体外受精させた受精卵を、代理出産女性の子宮に移植する。
 かつてアメリカなどでは(1)の類型が行われたが、現在は(2)または(3)の類型がもっとも広く行われているものと思われる。
 代理出産を依頼する側、引き受ける側の類型もさまざまである。依頼する側では、不妊のカップルだけでなく、単身者や男性同性愛カップル、妊娠・出産の負担を避けたい便宜的な利用者などがある。引き受ける側では、親族の女性(依頼夫婦の妻の姉妹や母)、無償のボランティア、有償の契約で雇われる場合などがある。無報酬のボランティアにも妊娠中の生活保障や栄養費などが払われることがある。島次郎]

現状と課題

代理出産に対しては、それ以外の生殖補助医療では子をもてない不妊のカップルの最後の希望だと評価する意見と、女性の体を道具化し搾取するものだと非難する意見が対立している。ドイツやフランスのように全面禁止する国もあれば、イギリスのように無償のボランティアの場合のみ認める国や、アメリカのいくつかの州のように有償の契約も認めるところもある。日本では法的規制はなく、産科婦人科学会が会告で禁じているだけであるが、それに反し国内で実施を公表した産科医がいるほか、アメリカやインドに渡航して行うケースも出ている。
 代理出産は、産んだ女性が生まれた子の母であるという一般的な母子観を覆す行為であり、家族のあり方を大きく変える事態をもたらす。日本では、判例で、分娩女性を母とするというルールが確定しているので、代理出産によって生まれた子は、依頼夫婦が実子とすることはできず、養子縁組がなされる。それで当事者がすべて納得すれば問題は起こらないともいえるが、子の引渡しまたは受取りの拒否や、補償のあり方などについてトラブルが起こった場合、係争が生じ、生まれた子の福祉が損なわれる事態になりかねない。禁止か容認か、禁止の場合は違反したら誰を罰するのか(依頼者か引き受けた女性か実行した医師か)、容認の場合はどのような条件を課すか、公的なルールの確立が望まれる。島次郎]
『小泉カツミ著『産めない母と産みの母――代理母出産という選択』(2001・竹内書店新社、雄山閣発売) ▽向井亜紀著『会いたかった――代理母出産という選択』(2004・幻冬舎)』

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