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生物的防除 セイブツテキボウジョ

百科事典マイペディアの解説

生物的防除【せいぶつてきぼうじょ】

バイオコントロールとも。病原菌に対する拮抗微生物,害虫に対する病原微生物天敵昆虫,雑草に対する病原微生物など,生きた生物資材によって植物の病虫害や雑草を防除する方法。
→関連項目生物農薬

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大辞林 第三版の解説

せいぶつてきぼうじょ【生物的防除】

天敵による捕食・寄生や昆虫病原菌の感染など、生物のはたらきを利用して農作物に有害な生物を防除すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生物的防除
せいぶつてきぼうじょ
biological control

生物的手法によって農作物の病気、害虫、雑草などを除去するか、活力を弱めてこれらを防除する方法で、具体的には、微生物、昆虫、植物その他の生物間の拮抗(きっこう)作用や寄生関係が利用される。たとえば病気では、タバコ白絹病に対して、その拮抗菌であるトリコデルマ菌Trichoderma lignorumの人工培養胞子を土壌に散布して防除する方法がある。また、果樹や樹木類の根頭がんしゅ病に対して、非病原細菌であるアグロバクテリウム・ラジオバクター84Agrobacterium radiobacter 84をあらかじめ接種して栽培すると、根頭がんしゅ病の感染を防ぐことができる。これと同じように、弱毒化したウイルスをあらかじめ接種しておくとウイルスの干渉作用によって強毒株に感染しても発病が抑えられることを利用した実用技術などがある。害虫では天敵の利用がある。柑橘(かんきつ)類の大害虫であるイセリヤカイガラムシに対して、ベダリヤテントウが天敵としてカリフォルニアから1910年(明治43)に輸入され、増殖放飼され効果を収めている。このほか作物の害虫の天敵として寄生バチ、とくにヒメコバチ科およびトビコバチ科に属するものが利用されている。害虫防除にはこのほか天敵微生物の利用がある。天敵微生物にはウイルス、細菌、菌類などがあるが、鱗翅(りんし)目害虫の幼虫に寄生し中毒死をおこす細菌バチルス・チューリンゲンシスBacillus thuringiensisによる防除が実用化されている。また核多角体病ウイルスなど昆虫の病原ウイルスを増殖散布し、特定の害虫を防除する方法もある。このような生物的防除法は、近年、農薬偏重の反省と省資源的観点から注目されており、実際の防除に利用されるようになった。生物的防除に使用される、生きたままの微生物や昆虫を防除剤として市販するためには、わが国では化学農薬と同様、農薬としての登録が必要である。その際、使用される生物資材を生物農薬と総称し、生物の種類によって微生物農薬、昆虫農薬(天敵も含む。天敵はとくに天敵農薬ともいう)とよばれる。1999年(平成11)6月現在での登録は微生物農薬(線虫も含む)が35品目、天敵農薬14品目である。[梶原敏宏]

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世界大百科事典内の生物的防除の言及

【天敵】より

… 天敵を人間が利用した最初はおそらくネズミの駆除のためにネコを飼うことだったと思われるが,本格的な利用は農林業を中心として進められている。農作物害虫の防除に天敵を導入する試みがアメリカ合衆国におけるイセリヤカイガラムシに対するベダリアテントウで大きな成功を収めて以来,そうした手法は生物的防除と呼ばれ,主として昆虫を材料に広く研究されるようになった。これまで農作物害虫などの生物的防除に成功している天敵は,特定の害虫だけを攻撃する寄生バチや寄生バエがほとんどである。…

※「生物的防除」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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