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印象主義音楽 いんしょうしゅぎおんがくimpressionistic music

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

印象主義音楽
いんしょうしゅぎおんがく
impressionistic music

19~20世紀初めフランスを中心に起ったモネらの印象主義絵画や,マラルメらの象徴詩に影響を受け,ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』に始る現代音楽の一派。光,波,風,匂い,音など,ただちに消失したり変化する瞬間的な生気に満ちた感応,イメージを音楽的イデーとして描く。旋律は非連続的で断片的。形式は完結性と発展性に欠け,リズムは微細化され流動的。和声機能の放棄 (平行和音,半音階和声の自由な使用) ,調組織からの離脱 (旋法,5音音階,全音音階の使用) により,異国趣味的な傾向を示す。ドビュッシーのほかにはサティ,ラベルらがいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

印象主義音楽
いんしょうしゅぎおんがく

1890年代から1910年代のフランス音楽、とくにクロード・ドビュッシーの音楽様式をさす。絵画の分野で用いられていた「印象主義」の用語を音楽に適用した最初の例は、1887年12月31日付けのフランス・アカデミーの『官報』で、ドビュッシーがアカデミーに提出した交響組曲『春』について、次のように記されている。「ドビュッシー氏には、確かに平凡とか陳腐という欠点がない。氏はまったく反対に、珍奇なるものを求めるという極端な傾向にある。氏は音楽の色彩感覚を強調するあまり、しばしば、正確な形式やデッサンの重要さを忘れている。氏はこの漠然とした印象主義から身を守る必要がある。」
 初め否定的な意味で使われていたこの用語は、20世紀に入ってから肯定的な意味で用いられるようになる。ドビュッシー自身も自作の管弦楽曲『夜想曲(ノクチュルヌ)』(1900初演。「雲」「祭り」「シレーヌ」の3部からなる)の解説文で、「ここで問題なのは、夜想曲という通常の形式ではなく、このことばに含まれている特殊な印象と光である」と述べている。印象主義の音楽は、雲、霧、水、波などの自然の流動的な情景を題材として、光と影の交錯する瞬間のイメージを、五音音階、教会旋法、全音音階、3連音符や5連音符のような非合理的なリズム、調性や機能和声から離れた響き、ピアニッシモを基本とするディナミーク、豊かで色彩的なオーケストレーション、テンポ・ルバートを多用する自在に変化するテンポなどによって表現した。ドビュッシーは初期の『牧神の午後への前奏曲』(1894)から晩年の『遊戯』(1913)まで、印象主義の作風によって作曲した。印象主義は、楽派として一派をなすには至らなかったが、デュカース、ルーセル、ラベル、ストラビンスキーら多くの作曲家に影響を与え、第二次世界大戦後は、ブーレーズやシュトックハウゼンも、前衛音楽の遠い出発点として、印象主義の音楽を評価している。[船山 隆]

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