日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲南」の意味・わかりやすい解説
甲南
こうなん
滋賀県南部、甲賀郡(こうかぐん)にあった旧町名(甲南町(ちょう))。現在は甲賀市の南部中央を占める一地区。1943年(昭和18)寺庄(てらしょう)町と宮、竜池、南杣(みなみそま)の3村が合併して成立。2004年(平成16)水口(みなくち)町、土山(つちやま)町、甲賀町、信楽(しがらき)町と合併、市制を施行して甲賀市となる。旧町域は、甲賀郡の南部に位置し、名称もここに由来する。JR草津線、国道307号が通じ、新名神高速道路の甲南インターチェンジがある。野洲(やす)川支流の杣川流域に集落が発達する。重粘土地帯で農業には不利であったが、用水改良事業によって改善され、水稲作を中心に酪農も行われる。また売薬業も盛んであったが、中心は甲賀市甲賀町に移った。近年、ゴルフ場や住宅地の造成が著しい。甲賀流忍術(こうがりゅうにんじゅつ)の発祥地といわれ、甲賀流忍術屋敷(望月家)がある。新宮神社表門、正福寺や伊勢廻(いせば)寺の十一面観音像などは国指定重要文化財。
[高橋誠一]
『『甲南町史』(1967・甲南町)』