甲賀者(読み)コウガモノ

デジタル大辞泉 「甲賀者」の意味・読み・例文・類語

こうが‐もの〔かふが‐〕【甲賀者】

近江おうみ甲賀地方の郷士忍びの術に長じ、一部江戸幕府諸大名に召し抱えられた。甲賀衆甲賀組

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精選版 日本国語大辞典 「甲賀者」の意味・読み・例文・類語

こうが‐ものかふが‥【甲賀者】

  1. 〘 名詞 〙
  2. こうがぐみ(甲賀組)
  3. ( 近江国甲賀地方から多く出たところから ) 忍びの者。忍者。甲賀衆。

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改訂新版 世界大百科事典 「甲賀者」の意味・わかりやすい解説

甲賀者 (こうがもの)

甲賀衆とも称し,近江甲賀郡地侍をいう。伊賀者とともに忍者として有名。甲賀武士の活動は鎌倉時代からみられ,室町時代には近江の守護六角氏の配下に属し,山中,神保美濃部,伴,望月の諸氏をはじめ53家を数えたという。彼らは早くから徳川氏との間に関係を保ち,江戸開幕とともに家康の召致をうけたが,大半のものはそれを断って土着して郷士となり,その後も侍分の特権を与えられていた。しかし,1600年(慶長5)の関ヶ原の戦で家康の部将鳥居元忠指揮下にあって伏見城を死守したものの子孫は,与力(10騎),同心(100人)として召し出されて山岡備前守景友(道阿弥)に配属され,景友の知行9000石のうち4000石がその給分にあてられた。これはのちに百人組(鉄砲百人組)4組のうちの甲賀組となった。ちなみに,甲賀組は頭1人(役高3000石,布衣,菊之間縁頰詰,若年寄支配)のもとに与力20騎(役高現米80石,御目見以下,役上下,譜代席),同心100人(役高30俵二人扶持,御目見以下,譜代席)があり,平素は他の3組(根来組,伊賀組,二十五騎組)と交替で江戸城大手三の門を警衛した。
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百科事典マイペディア 「甲賀者」の意味・わかりやすい解説

甲賀者【こうがもの】

甲賀衆とも。近江(おうみ)国甲賀(こうが)郡を根拠とした地侍(じざむらい)衆。俗に甲賀53家といい,山中(やまなか),小佐治(こさじ),頓宮(とんぐう),神保(じんぼ),美濃部(みのべ),伴(ばん),三雲(みくも),望月(もちづき)氏らが著名。室町時代,幕府奉公衆や近江守護佐々木氏の被官となって活躍。江戸時代の初め,幕府から関東移住を勧められたが,大部分は移らず,郷士として処遇された。伊賀者(いがもの)と並び忍びの者として有名。なお関東移住者は幕府の鉄砲百人組の甲賀組に編成された。
→関連項目隠密

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲賀者」の意味・わかりやすい解説

甲賀者
こうがもの

近江(おうみ)国(滋賀県)甲賀郡の地侍(じざむらい)出身者の総称。忍びの術に長じ、伊賀者と並んで江戸幕府や諸藩に召し抱えられた。徳川氏と親密になったのは、本能寺の変に、おりから堺(さかい)に滞在中の家康が急遽(きゅうきょ)伊賀越えで帰国する際、護衛にあたったことによる。関ヶ原の戦いに先だつ伏見(ふしみ)の籠城(ろうじょう)戦に、甲賀から100余人が救援に駆けつけたが、うち70余人が戦死している。戦後、家康は彼らの功に報いるため、甲賀百人組を編成させ、江戸城の大手三門の警固にあたらせた。関東に移住することを嫌った者たちは生国で郷士となったが、寛政(かんせい)の改革当時、幕府に忍術復興を陳情した古士(こし)二十一家のうち約半数は経済的に窮迫し、忍術の維持は困難であると訴えている。

[渡邉一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「甲賀者」の意味・わかりやすい解説

甲賀者
こうがもの

近江国 (滋賀県) 甲賀郡の忍びを生業とする地侍をいう。江戸時代,徳川家康の厚遇を得て侍としての特権を認められ,鉄砲同心として仕えた。伊賀者とともに忍者 (しのびのもの) として有名である。 (→隠密 )

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旺文社日本史事典 三訂版 「甲賀者」の解説

甲賀者
こうがもの

近江国甲賀郡の地侍の総称
江戸幕府に仕え鉄砲隊の同心となった。伊賀者とともに幕府の隠密活動に従事した。

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