留守神(読み)ルスガミ

デジタル大辞泉 「留守神」の意味・読み・例文・類語

るす‐がみ【留守神】

神無月かんなづき出雲に参集せず、その土地にとどまるという神。恵比須神が多いが、地方によって違いがある。

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精選版 日本国語大辞典 「留守神」の意味・読み・例文・類語

るす‐がみ【留守神】

  1. 〘 名詞 〙 旧暦一〇月にすべての神が出雲に参集するというときに、留守番をしているという神。
    1. [初出の実例]「留守神ばかりこそと、常は申されけるも」(出典:山王絵詞(1310頃)一一)

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改訂新版 世界大百科事典 「留守神」の意味・わかりやすい解説

留守神 (るすがみ)

神無月(かんなづき)(旧暦10月)には,日本中の神々が出雲の出雲大社に集まるという伝えが平安時代からあるが,そのとき留守居をするという神がある。一般には,オカマサマあるいは荒神こうじん),恵比須,大黒,亥子(いのこ)の神を留守神としているところが多く,これらの神は,家屋に定着した家の神である点で共通する。武蔵の総社である六所明神(大国魂神社)や信濃諏訪明神諏訪大社)など,各地の大社には,神の本体が蛇なので出雲に行かないという伝えがある。讃岐の金毘羅(こんぴら)権現(琴平宮)をはじめ,各地の金毘羅さまについても同じことをいう。蛇体の神とは大地の主の神の特色で,これらの神も,それぞれの土地の鎮護神である。出雲大社の神も大地の主の神で,神無月の神集いの伝えは,稲の収穫儀礼の一部として,稲を守護する神を土地の鎮護神が総括するような大地の主の信仰を基盤に成立しているらしい。家では家の神が大地の主の地位を占めていたのであろう。
神送り・神迎え →神無月
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「留守神」の意味・わかりやすい解説

留守神
るすがみ

神無月(かんなづき)(旧暦10月)に神々が出雲(いずも)へ集合している間、家や村にとどまって留守をしているという神。竈(かまど)神(荒神(こうじん))、恵比須(えびす)、大黒(だいこく)、亥(い)の子(こ)神、道祖神(どうそじん)、金比羅(こんぴら)などを留守神とする所が多く、これらは総じて田の神、家の神的性格をもつもので、しばしば旧暦10月を祭日としている。神無月には神不在であるとの伝えが一般化したのちに、不在であるにもかかわらず、これら一部の神の祭りがあることの不可解さの説明のために、留守神の考えがおこったのではないかとされている。

[田中宣一]

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