番帳(読み)バンチョウ

デジタル大辞泉 「番帳」の意味・読み・例文・類語

ばん‐ちょう〔‐チヤウ〕【番帳】

中世番衆構成出仕宿直期日などを記した帳簿番文ばんぶみ

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精選版 日本国語大辞典 「番帳」の意味・読み・例文・類語

ばん‐ちょう ‥チャウ【番帳】

〘名〙 番衆の構成や出仕・宿直の期日などをしるす帳簿。番文(ばんぶん)
吾妻鏡‐仁治二年(1241)一二月八日「小侍所番帳更 被之」

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改訂新版 世界大百科事典 「番帳」の意味・わかりやすい解説

番帳 (ばんちょう)

幕府の諸役を務めた番衆名簿をいう。鎌倉幕府近習・小番などを務める番衆の名簿は小侍所に保管されており,将軍の外出の際などはそこから供奉人を選定したことが《吾妻鏡》にみえる。室町幕府でも同様で,《天竜寺記録》の記述で推察すると,番帳には姓名・官途・年齢も記されていた。室町幕府の御所内番の制度は足利義満~義教のころに整えられるが,整備された番帳としては14世紀後半,足利義政~義材の時期のものが伝えられている。列挙すると,(1)永享以来御番帳,(2)文安年中御番帳,(3)常徳院御動座当時在陣衆着到(以上《群書類従》所収),(4)室町殿文明中番帳,(5)同永享文正中番帳,(6)同在陣衆名簿(以上,水戸彰考館蔵),(7)東山殿時代大名外様附(京都大学蔵),(8)室町殿番帳(内閣文庫蔵〈蜷川文庫〉所収)となる。いずれも種々の史料を集めたもので,御相伴(おしようばん)衆,御供衆奉公衆などの名簿を含むが,それぞれに時代考証が必要である。このうち大部を占める奉公衆の番帳としては,(2)(8)は1444-48年の間のもの,(1)(4)は1450-54年,(3)(6)は1487-89年,(7)は1491-92年の間のものと推定されており,相互に対照させることによって誤脱を正し,応仁の乱を挟んだこの時代の幕府体制の変化をみることができる。このほかに16世紀中期の〈永禄六年諸役人附〉(《群書類従》),〈光源院殿諸役付〉(彰考館蔵)があり,断片的なものは数多い。いずれも室町時代政治史研究の基本史料である。
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世界大百科事典(旧版)内の番帳の言及

【番】より

…番数や交代勤務の方法はその勤務内容によって一定しないが,1年12ヵ月,1月30ヵ日,および1巡60の干支を配分する関係で,番は12か30あるいは60の約数で編成されている場合が多い。番制度による勤務に当たることを〈当番〉,これを勤めることを〈上番〉〈勤番〉などといい,その結番交名(きようみよう)を〈番文〉〈番帳〉,編成された一つの番の統率者を〈番長〉〈番頭(ばんがしら∥ばんとう)〉あるいは〈頭人(とうにん)〉などと呼ぶ。同一の番所属者は〈合番〉〈相番〉と呼ばれ,そこにはしばしば相互扶助,連帯の感情が認められる。…

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