(読み)ヒ

デジタル大辞泉 「痺」の意味・読み・例文・類語

ひ【痺】[漢字項目]

[音]ヒ(呉)(漢) [訓]しびれる しびれ
しびれる。しびれ。「麻痺

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「痺」の意味・読み・例文・類語

しび・れる【痺】

〘自ラ下一〙 しび・る 〘自ラ下二〙
① 体の全体または一部の感覚がなくなり、運動の自由がきかなくなる。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)賈誼第十八「痱はしびるるやまいぞ」
② 正常な思考能力や感情気力が麻痺する。激しく感情が高まって酔ったようになる。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)三「あくる障子の内、〈略〉見るよりぞっと身もしびれ」
猟銃(1949)〈井上靖みどり手紙スピードの美しさだけが私の全感覚をしびれさせてゐる最中ですもの」
電気などを感じてびりびりふるえる。

しびり【痺】

[1] 〘名〙 =しびれ(痺)〔天正本節用集(1590)〕
※虎明本狂言・痺(室町末‐近世初)「これはしびりがおこって立居さへなりませぬ」
[2] 狂言の曲名。各流。太郎冠者仮病のしびりを口実に主の使い依頼をことわる。それを見抜いた主が、伯父(おじ)のごちそうに呼ばれたというと、太郎冠者は治ったと言い、主がもう一度用を頼むと、またしびりがおこったとすわりこむ。

しびれ【痺】

〘名〙 (動詞「しびれる(痺)」の連用形名詞化) 感覚異常の一つ神経系あるいは循環系の障害により、運動神経、または知覚神経が侵された状態となり、運動麻痺、知覚麻痺を起こす。しびり。〔和玉篇(15C後)〕
※俳諧・二葉の松(1690)「しびれ来る迄かしこまりけり 御手届く花のはしごに肩献(あげ)て」

しび・る【痺】

〘自ラ下二〙 ⇒しびれる(痺)

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改訂新版 世界大百科事典 「痺」の意味・わかりやすい解説

痺 (しびれ)

一種の異常感覚。長時間の正座などによって,下肢に循環障害を生じ,運動・感覚ともに麻痺して〈しびれ〉ることは,よく経験される。しびれは日常的によくみられる現象であるが,その内容はきわめて複雑で多義にわたり,これに該当する単一の外国語はない。しびれは次のように大別される。(1)異常感覚 自発的に,あるいは外的刺激に対して,〈びりびり〉とか〈じんじん〉とかさまざまな異常感覚を感じる。(2)感覚鈍麻 触・痛・温・冷覚などの表在感覚が鈍麻または消失する。(3)運動麻痺 急性または亜急性の運動麻痺,筋脱力。これら(1)~(3)は共存することも多い。しびれは神経系のさまざまな部位の病変によって生じ,その原因もまた種々である。
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