癜風(読み)でんぷう(英語表記)pityriasis versicolor

  • (皮膚の病気)
  • Tinea versicolor
  • ×癜風
  • 癜風 Pityriasis Versicolor
  • 癜風(真菌症)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

いわゆる黒なまずである。風菌感染により,米粒大から甲大ぐらいまでの円形あるいは楕円形状皮疹が躯幹 (特に上,上など) に多発し,ときに融合局面を形成する。色調淡褐色であるが,軽度に脱色するものもある。わずかに扁平に隆起し,爪などでこすると容易に鱗屑が剥離する。自覚症状はない。青壮年者に多く,夏季に悪化する。

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百科事典マイペディアの解説

なまずともいう。皮膚真菌症の一種。癜風菌によって起こる。胸,背などに米粒大から爪(つめ)の甲大ぐらいまでの斑点が多数発生し,病変部にわずかな落屑(らくせつ)を認める。斑が白いものを白色癜風(白なまず),褐色のものを黒色癜風(黒なまず)という。自覚症状はほとんどない。治療には抗真菌剤の塗布や太陽灯照射など。
→関連項目真菌症

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家庭医学館の解説

[どんな病気か]
 もともと人の皮膚に常在しているマラセチアと呼ばれる真菌(しんきん)(かびの仲間)が、何かのきっかけで異常に増殖することでおこります。このようなかびの増殖に都合のよい梅雨(つゆ)から夏にかけて、よく汗をかく若い人にみられます。
[症状]
 おもに躯幹(くかん)(胴体(どうたい))に、硬貨大までの大きさの淡い褐色の斑点(はんてん)がたくさんでき、こそぐと細かい皮膚片がとれます。時間がたつとその部分の皮膚の色がぬけ、白い斑点として長く残ることがあります。
[治療]
 皮膚の表面をこそぎとり、顕微鏡で検査して原因となる真菌の存在を証明します。
 治療にはおもに外用抗真菌薬が使われます。約2~3週間の治療で一応軽快しますが、少数ながら、菌そのものが常在菌として残るため、その後のケアを怠ると再発することがよくあります。そのため、皮膚をいつも清潔に、乾燥した状態に保つようにします。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

癜風菌という一種のカビ(真菌)の寄生によっておこる皮膚病で、俗に黒なまずという。青年や中年の男女の胸や背部に好発する。エンドウ豆大から指頭大の、多くは淡褐色で、皮膚面から盛り上がらない円形の斑(はん)を生じ、これが連なって不規則形、地図状の病変をつくる。色の黒い人では病変部がかえって淡くみえることがある。病変の表面をこすると米糠(こめぬか)様の落屑(らくせつ)を認め、その中に顕微鏡検査によって癜風菌が証明される。治療としては種々の抗真菌外用剤が有効であるが、再発することが多く、ことに夏季に増悪する。[野波英一郎]

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内科学 第10版の解説

(2)癜風(pityriasis versicolor)
病原菌
 癜風菌(Malassezia furfur)で,毛孔・皮表の常在菌である.好脂性の菌で,直接鏡検で太く短い短冊状の仮性菌糸と胞子とをみる.脂質含有培地で培養される.
臨床症状
 米粒大から爪甲大までの境界明瞭な円〜楕円形の微細な鱗屑を伴う斑が,主として成人の上胸・上背・腋窩を侵す.淡褐色の黒色癜風と逆に脱色する白色癜風とがある.しばしば融合,不規則局面をつくる.皮膚以外は侵さない.
診断・治療
 直接鏡検で菌要素を確認する.抗真菌薬の外用(イミダゾール系など),ときに内服(イトラコナゾール)で治療する.皮膚の清潔,制汗を心がける.マラセチア毛包炎(Malassezia folliculitis)癜風菌によって皮脂が分解され,面皰を形成,炎症反応を起して痤瘡様の毛包炎をきたす.青壮年男子の前胸・肩・背・上腕伸側に好発,高温多湿・副腎皮質ステロイド薬外用などが誘因.[大塚藤男]

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 癜風菌(マラセチア・ファーファー)による皮膚の真菌症です。

原因は何か

 癜風菌は皮膚の常在菌で、体幹などのいわゆる脂漏(しろう)部位に胞子の形で存在しています。高温、多湿の環境下で多汗により菌が増殖、形態変化(菌糸形になる)して癜風が発病します。そのため熱帯、亜熱帯地方では極めて多くみられます。

 肥満なども誘因になり、ステロイド薬を内服していたり、内分泌疾患がある患者さんに合併することもありますが、基本的には汗かきの元気な人に生じる皮膚病です。頭部や顔面の癜風菌は、脂漏性皮膚炎との関連が注目されています。

症状の現れ方

 小児から老人に発症しますが、20~40代の青壮年に好発し、男性にやや多くみられます。好発部位は背部、胸部、頸部(けいぶ)、上腕、腋窩(えきか)などで、小児では顔面に生じることがあります。春から夏にかけて発症および悪化しやすく、臨床症状は、細かい鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれかけている角質)が付着する淡褐色斑(たんかっしょくはん)黒色癜風(こくしょくでんぷう))あるいは脱色素斑(白色癜風(はくしょくでんぷう))です。

 色素異常の原因は完全にはわかっていませんが、露光部位に脱色素斑、非露光部に淡褐色斑が認められることが多く、顔面は白色癜風、腋窩は黒色癜風になることがよくあります。メスでこすると細かい鱗屑が明瞭になります。大きさは帽針頭大から、くっつき合って地図状の大きな局面になるものまでさまざまです。毛孔のところに小脱色素斑が多発することもあります。自覚症状はほとんどないか、あっても軽度のかゆみくらいです。発症初期、急性悪化時に軽度の浮腫、発赤を伴うことがあります。

検査と診断

 確定診断は、白癬(はくせん)と同じように直接鏡検(顕微鏡での検査)で菌糸形の癜風菌を検出して行います。菌要素は多いので、比較的簡単に見つかります。また、ズームブルーを用いると菌が染色され有用です。ウッド灯(長波長の紫外線を出す蛍光管)で黄色の蛍光(けいこう)を発するので、診断および病変の拡大の把握に有用です。

治療の方法

 癜風菌に抗菌力のある外用薬を用いますが、抗菌域の広いイミダゾール系が最も使われています。広範囲で外用が難しい例ではイトラコナゾール(イトリゾール)を内服します。

 2週間で菌は陰性化することが多いのですが、治ったあとの色素沈着、色素脱失などの色素異常は長期間残り、これに対する有効な治療法はありません。また皮膚の常在菌であるため、再発率が極めて高いのが問題です。

病気に気づいたらどうする

 あまり自覚症状のない色素異常では本症が疑われます。早期治療が重要です。皮膚科専門医を受診してください。また、白癬などの皮膚真菌症と違い、ほかの人へ感染することはほとんどありません。

加藤 卓朗

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世界大百科事典内の癜風の言及

【皮膚真菌症】より

…真菌が主として表皮の最表層ともいえる角質層に感染する浅在性皮膚真菌症と,真皮内に菌が侵入し増殖して発症する深在性皮膚真菌症に二大別することができる。日本では前者が圧倒的に頻度が高く,皮膚糸状菌症,皮膚カンジダ症,癜風(でんぷう)が代表的である。後者にはスポロトリコーシス,クロモミコーシス,皮膚アスペルギルス症,皮膚クリプトコックス症などがある。…

※「癜風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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