地面から吹き上げられて大気中に浮かんでいる細塵(さいじん)や煙の粒子。またそれらのために遠方の風景がはっきり見えなくなる現象をもいう。気象観測上の用語で、煙霧は霧ではない。地面から吹き上げられた細塵であることがはっきりしている場合には塵煙霧(ちりえんむ)、燃焼によって生じた煙であることがはっきりしている場合には単に煙といい、そのいずれとも判別できないものを煙霧とよんでいる。煙霧の濃さは遠景の見えぐあいによって決まるが、煙霧のまったくないときには、50キロメートル遠方の山が見えるが、煙霧があると遠方の山はぼんやりとかすんで白っぽく見える。
空が青く晴れているときに地上から水平線の方向を見ると、空のある高さから上は青く、その下は白っぽくあるいは茶色っぽく濁って見えることがある。これは、煙霧が地上からだんだん上空に広がって、上空の気温の逆転層の底まで届いたためである。このような煙霧層の高さは普通1000メートル前後である。市街地などでは、煙霧は工場などから出る煙がもとになって発生することが多い。したがって煙霧の濃さは、大気汚染の程度の指標にもなる。人間活動と煙霧による視程の悪化とは相関がある。
[大田正次]
工場や住宅等の煙突から出るばい煙,自動車の排気ガスに含まれる不完全燃焼物など,微細な乾燥した塵埃が大気中に浮遊していると空気が濁って視程が悪くなる。この状態を煙霧という。湿度が比較的高いときに発生する靄(もや)が灰色っぽいのに対し,煙霧は背景が暗いと青みがかり,明るいときは黄色みを帯びて見える。大都市や工業地帯はもともとばい塵の発生量が多いが,たまたま上空に気温の逆転があると対流が起こらないのでばい塵は大気下層に蓄積し,濃い煙霧が発生する。このようなときもし湿度が上がると濃い霧が発生する。これをスモッグという。暖房や工業用に石炭をたいていたころのロンドンのスモッグは有名で,呼吸器疾患による多数の死者を出した。現在は各国とも法的な規制を行って大気汚染の防止につとめている。人間起源のばい塵のほか,火山性微塵,黄砂,海洋起源の塩分等も煙霧の原因となる。雨は大気中の微塵を洗い流してくれるので雨あがりの空はきれいになる。なお,煙smokeと煙霧hazeのまざったものをスメーズsmazeということがある。
執筆者:若浜 五郎
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…(e)スモッグsmog 煙smokeと霧fogの混ざったもの。乾いた微細な粒子が大気中に浮遊して大気が白く濁ってみえる現象をヘーズhaze(煙霧ともいう)といい,煙とヘーズの混ざったものをスメーズsmazeという。
[霧の害]
霧は各種交通の障害となり,また,スモッグなどは健康にもよくないので,古くから霧を人工的に消そうとする試みが行われてきた。…
…最近は多くの化学物質や重金属がエーロゾルを形成し,大気汚染への影響の面から重要視されている。 煙霧ヘーズhazeともいう。大気中でごく微細な乾燥した粒子が浮かび,視程障害を起こしたり,遠景を見えにくくしている現象。…
…(e)スモッグsmog 煙smokeと霧fogの混ざったもの。乾いた微細な粒子が大気中に浮遊して大気が白く濁ってみえる現象をヘーズhaze(煙霧ともいう)といい,煙とヘーズの混ざったものをスメーズsmazeという。
[霧の害]
霧は各種交通の障害となり,また,スモッグなどは健康にもよくないので,古くから霧を人工的に消そうとする試みが行われてきた。…
…最近は多くの化学物質や重金属がエーロゾルを形成し,大気汚染への影響の面から重要視されている。 煙霧ヘーズhazeともいう。大気中でごく微細な乾燥した粒子が浮かび,視程障害を起こしたり,遠景を見えにくくしている現象。…
※「煙霧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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