百姓往来(読み)ヒャクショウオウライ

デジタル大辞泉 「百姓往来」の意味・読み・例文・類語

ひゃくしょう‐おうらい〔ヒヤクシヤウワウライ〕【百姓往来】

往来物の一。江戸時代農民子供文字知識を教えるために作られた教科書

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精選版 日本国語大辞典 「百姓往来」の意味・読み・例文・類語

ひゃくしょう‐おうらいヒャクシャウワウライ【百姓往来】

  1. 〘 名詞 〙 江戸中期から明治にかけて作られた往来物の一種百姓子弟に必要な知識や文字を学ばせることを目的として作られたもの。宝暦八年(一七五八)の岩崎清矩「田舎往来」以下各種がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「百姓往来」の意味・わかりやすい解説

百姓往来 (ひゃくしょうおうらい)

明治以前とくに江戸時代に多数出版された庶民教育の教科書“往来物”の1冊。現在この書名で有名なのは,江戸後期の明和年間(1764-72)に刊行されたもので,著者の名ははっきりしない。作物,家畜,農具肥料など技術的知識,農民の守るべき道徳検地にたいする心得,日常生活に必要な読み書きの指導など,ふだんの暮しに最低限必要な手引きを網羅し,ひじょうに多く利用されて広範囲に流布し,これをまねた類書がいくつも現れたという。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「百姓往来」の意味・わかりやすい解説

百姓往来
ひゃくしょうおうらい

往来物の一種。江戸時代に編纂された農民の子弟のための初歩的教科書。明和3 (1766) 年刊の版本 (1冊,禿掃子著) を最初として,以後類似の題名,内容の書が全国に普及した。内容は,「五人組帳前書」や『慶安の御触書』など領主側の思想に拠りながら,農作業,納税,衣服,食物,牛馬飼育など,農家に必要な知識と文字を学ばせようとしたもの。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「百姓往来」の解説

百姓往来
ひゃくしょうおうらい

江戸中期以降刊行の往来物の一つ。1766年(明和3)江戸で出版。形態は「商売往来」にならう。内容的には1758年(宝暦8)の「田舎(でんしゃ)往来」を抜粋ないし要約したものといわれる。百姓に必要な用語・語彙や知識に焦点をしぼり,コンパクトにまとめてある点が特徴。頭書で世帯道具字尽,一代の守本尊など,当時の重要な知識・教訓を補っている。「農業往来」より後の出版だが,普及度は本書の方が高かった。「日本教科書大系」所収。

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