百物語(読み)ヒャクモノガタリ

デジタル大辞泉 「百物語」の意味・読み・例文・類語

ひゃく‐ものがたり【百物語】

夜、数人が集まって順番怪談を語り合う遊び。ろうそくを100本立てておいて、1話終わるごとに1本ずつ消していき、100番目が終わって真っ暗になったとき、化け物が現れるとされたもの。 夏》「―はてて灯せば不思議な空席/吐天」

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精選版 日本国語大辞典 「百物語」の意味・読み・例文・類語

ひゃく‐ものがたり【百物語】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 夜、数人が集まって交代で怪談を語る遊び。一〇〇本の蝋燭、または行灯に一〇〇本の灯心を入れてともし、一つの話が終わるごとに一本ずつ消していき、最後の一本を消したときに妖怪が現われるとされたもの。百咄。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「何にても百物語をすれば、かならずこはき物あらはれ出るとうけ給はりし」(出典:咄本・百物語(1659)序)
  2. [ 2 ] 歌舞伎所作事。常磐津清元長唄。一幕。三世河竹新七作詞。二世清元梅吉・六世岸沢式佐・一三世杵屋六左衛門などの作曲。本名題「闇梅(やみのうめ)百物語」。明治三三年(一九〇〇)東京歌舞伎座初演。傘の一本足・雪女郎・骸骨などの化け物の五変化舞踊。最後の「小坂部(おさかべ)」は新古演劇十種の一つ。

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改訂新版 世界大百科事典 「百物語」の意味・わかりやすい解説

百物語 (ひゃくものがたり)

民間に伝わる怪談会。たそがれ時を期し,まず一座中に灯を百ともし,こわい話を一つずつしていくたびに一つずつ灯を消していき,丑(うし)三つ(今の午前2時~2時半)ころにおよんで百の灯をみな消したときに,必ず怪異が現れるといい伝えられた。ことに文化・文政期(1804-30)に至って,とくに狂歌師仲間で百物語の狂歌を一夜一ヵ所に集まって詠むことが流行し,《狂歌百鬼夜行》《百鬼夜楽》などの類が刊行された。その源流室町時代に現れた〈百鬼夜行〉で,とくに江戸時代に入ってから,武士階級の間に練胆の会として行われ,また怪談が流行して,中国の怪談が輸入され,多くの絵画や読物が刊行された。鳥山石燕の《画図百鬼夜行》のほか《百鬼夜行拾遺》《百器徒然袋》があり,また噺本(はなしぼん)として《百物語》《新百物語》《御伽百物語》《太平百物語》《百物語評判》などが現れた。落語では,〈怪談噺〉という一つのジャンルをなした。
怪談
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「百物語」の意味・わかりやすい解説

百物語(仮名草子)
ひゃくものがたり

仮名草子(咄本(はなしぼん))。二巻二冊。編者未詳。1659年(万治2)刊。「百物語をすればかならずこはき物あらはれ出る」と聞いて百物語をしてみたが、太平の御代(みよ)に恐いものなどは現れぬと大笑いした、という序のもとに、100の笑話を集録した作品。宗鑑や一休、策彦(さくげん)、紹巴(じょうは)、宗祇(そうぎ)、貞徳などの著名人を登場させて読者の興をひく話、狂歌や付句(つけく)のおかしみをねらった話、落ちのおもしろさをねらった話などが雑纂(ざっさん)的に並列されているが、中世末から近世初頭の時代風潮を反映した話も少なくない。『きのふはけふの物語』や『醒睡笑(せいすいしょう)』ほどの影響力はもたないにしても、それらとともに、近世を通じて流行する笑話本の先駆けをなしたものとして注目される作品の一つである。

[谷脇理史]

『武藤禎夫・岡雅彦編『噺本大系1』(1975・東京堂出版)』


百物語(怪談会)
ひゃくものがたり

夜人々が集い順に怪談をしあう怪談会の形式。一話ごとにあかりを一つ消してゆき、百話終わった闇(やみ)の中にかならず妖怪が現れるといわれていた。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「百物語」の意味・わかりやすい解説

百物語【ひゃくものがたり】

人びとが集まって100種の怪談を次々に物語る会,およびその話。100番目の話を終えると怪異が出現するとされていた。室町時代に始まり,江戸時代には,とくに武士たちの間で胆だめし,練胆の会として盛んに行われた。これにともない怪談が流行し,中国の怪談を輸入するなどして,多くの読物が刊行された。噺本《百物語》(1659年),《百物語評判》(1686年)など。
→関連項目巡り物語

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「百物語」の解説

百物語
(通称)
ひゃくものがたり

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
闇梅百物語
初演
明治33.1(東京・歌舞伎座)

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デジタル大辞泉プラス 「百物語」の解説

百物語

内藤裕敬(ひろのり)による戯曲。初演は劇団南河内万歳一座(1990年)。1991年、第35回岸田国士戯曲賞の候補作品となる。

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世界大百科事典(旧版)内の百物語の言及

【落語】より

…これは,フリーな立場にあった御伽衆の安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)が,京都所司代板倉重宗の御前で口演したはなしの筆録で,武家に関する咄,板倉父子の裁判咄なども収められ,《昨日は今日の物語》にくらべると,庶民性,明朗性に欠ける。 これらの笑話本を契機として咄の趣味は普及し,《わらひぐさ》(1656)や《百物語》《私可多(しかた)咄》(1659)なども出版されるにおよんで,咄の筋をしゃべるだけでなく,身ぶり入りで都会人と田舎者との区別などを演じ分けるという,落語の基本ともいうべき立体的演出法もくふうされ,《囃(はなし)物語》(1680)の時代には,咄を架空の笑話と規定するにおよび,落語の基本的内容・表現が確認された。その後まもなく,〈はなし〉を〈軽口〉というようになるとともに,はなしのおもしろさを効果的に結ぶ〈落ち〉の技術もみがかれていった(後出〈落ちの型〉を参照)。…

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