翻訳|zinc sulfate
化学式ZnSO4。亜鉛を希硫酸に溶解した溶液を濃縮冷却すると,0~39℃で7水和物が得られる。白色結晶。以前は白色の硫酸塩であることから皓礬(こうばん)/(こうは)とも呼ばれた。MgSO4・7H2Oと同形で斜方晶系。a=11.779Å,b=12.050Å,c=6.822Å,Z=4。Znに6H2Oが配位し,残る1分子のH2OはSO4の酸素と配位,H2Oの酸素と水素結合をしている。39~60℃で結晶をつくると6水和物,60~100℃では1水和物が得られる。別に不安定な7水和物(単斜晶系,FeSO4・7H2Oと同形),4水和物,2水和物が知られている。加熱すると約250℃ですべての結晶水を失い,600℃では分解してZn3O(SO4)2を生ずる。さらに750℃以上で分解が進み,930℃でZnOを生ずる。無水和物は斜方晶系,a=8.58Å,b=6.73Å,c=4.77Å,Z=4である。Znに6個の酸素原子が配位している。比重3.74(無水和物),3.28(1水和物),2.07(6水和物),1.97(7水和物)。100gの水に対する溶解度54.2g(20℃),74.0g(50℃),60.6g(100℃)で,よく溶ける。7水和物はMⅡSO4・7H2O(MⅡ=Mg,Fe,Mn,Co,Ni)と混晶をつくりやすい。亜鉛の塩としては工業的に最も広く使われている。顔料,媒染剤,木材の防腐剤,亜鉛めっき液として,希薄溶液は収斂(しゆうれん)性消毒剤,眼科薬として用いられる。皮膚,粘膜に刺激性があるから取扱いに注意を要する。毒物及び劇物取締法による劇薬に指定されている。
執筆者:水町 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
亜鉛の硫酸塩で、通常は七水和物がよく知られ、皓礬(こうは)とよばれる。天然には無水和物および七水和物が産出する。
工業的には硫化亜鉛を適当に煆焼(かしょう)して無水和物が得られる。金属亜鉛または酸化亜鉛、炭酸亜鉛を希硫酸に溶解し、濃縮冷却して39℃以下で結晶化すると七水和物が、39~70℃で結晶させると六水和物ZnSO4・6H2Oが、さらに70℃以上では一水和物ZnSO4・H2Oが得られる。
七水和物は無色・無臭。収斂(しゅうれん)性のある結晶。空気中では風解する。急に熱すると約50℃で結晶水に溶けるが、穏やかに熱すると39℃で六水和物となり、70℃では一水和物となるが、さらに240~280℃では無水和物となる。水に易溶。水溶液は加水分解して弱酸性。エタノール(エチルアルコール)に難溶。
六水和物は無色単斜晶系結晶。比重2.072(測定温度15℃)。
一水和物は無色の粉末。比重3.28(測定温度15℃)。用途としては顔料(リトポンとして)、防腐剤などとして使用されるが、収斂性、防腐性、止血性を利用して医薬品として用いられ、とくに点眼薬として使用される。なお毒物および劇物取締法で指定される劇薬である。
[中原勝儼]
硫酸亜鉛
硫酸亜鉛七水和物
ZnSO4・7H2O
式量 287.5
融点 100℃
沸点 ―
比重 1.97(測定温度16.5℃)
結晶系 斜方
ZnSO4(161.47).コウバンともよばれる.亜鉛を硫酸に溶かすか,酸化亜鉛に硫酸を作用させて得た液を39 ℃ 以下で蒸発結晶させるとZnSO4・7H2Oが得られる.密度1.97 g cm-3.MgSO4・7H2Oと同形である.七水和物,六水和物,一水和物,無水物があり,転移点はそれぞれ39 ℃,70 ℃ で,一水和物は250 ℃ 以上で脱水して無水物となる.無水物は密度3.47 g cm-3.水に易溶.媒染剤,木材の防腐剤,紙の漂白剤,分析試薬,飼料用添加物,医薬品(点眼薬),リトポンの製造,めっき,亜鉛化合物の製造などに用いられる.[CAS 7733-02-0:ZnSO4][CAS 7446-20-0:ZnSO4・7H2O][CAS 7446-19-7:ZnSO4・H2O]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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