3人以上の取締役で構成する「監査等委員会」が取締役の業務執行が適正かチェックする経営形態の株式会社。ことし5月1日施行の改正会社法で導入された。委員会メンバーの過半数は社外取締役でなければならず、2人以上の社外取締役が必要となる。株主総会に提出する取締役選任議案を決める「指名委員会」など3委員会を置く従来の「委員会設置会社」は「指名委員会等設置会社」に呼び名が変わった。
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
日本の株式会社において、定款に定めて選択できる機関構造として、取締役会内に「監査等委員会」が置かれる会社(会社法2条11号の2、326条2項)。2002年(平成14)改正商法により導入され2005年会社法によって整備された委員会設置会社(2014年改正により指名委員会等設置会社に改称)は、会社業務の執行と監督を分離したモニタリング・モデルを実現し、コーポレートガバナンス(企業統治)を強化するうえで魅力的な機関構造をもつが、現実には、取締役会内に、それぞれ過半数の社外取締役で構成される指名委員会、報酬委員会、監査委員会の3委員会を設置すること(とくに報酬委員会と指名委員会の設置)がコストやニーズの点で会社側に受け入れがたく、あまり普及しなかった。そこで、取締役会の監督機能を充実させるために、2014年改正会社法によって「監査等委員会設置会社」の機関構造が設けられ、ガバナンス強化の仕組みとしてのもう一つの選択肢が用意された。
監査等委員会設置会社では、取締役会と会計監査人を置くことが求められ(同法327条1項3号・同条5項)、監査役を置くことはできない(同条4項)。監査等委員の過半数は社外取締役でなければならない(331条6項)。監査等委員会の機能のなかに、監査役設置会社・監査役会設置会社における監査役・監査役会の機能と取締役会の監督機能が一元化されている。さらに、会社全体の取締役の過半数が社外取締役である場合、または、定款で定めた場合には、業務の決定権限を取締役会から取締役に大幅に委譲することが認められる(399条の13第5項・6項)。これにより、執行と監督を分離するモニタリング・モデルを実現することができる。
[福原紀彦 2017年12月12日]
『鳥山恭一・福原紀彦・甘利公人・山本爲三郎・布井千博著『会社法』第2次改訂版(2015・学陽書房)』▽『江頭憲治郎著『株式会社法』第6版(2015・有斐閣)』▽『神田秀樹著『法律学講座双書 会社法』第19版(2017・弘文堂)』▽『福原紀彦著『企業法要綱3 企業組織法――会社法等』(2017・文眞堂)』
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新