取締役が業務を執行し、3人以上の監査役でつくる監査役会が経営状況をチェックする株式会社。企業が持続的に成長できるよう経営を監視する企業統治(コーポレートガバナンス)のための一つの経営形態である。日本では大多数の株式会社が該当し、2003年(平成15)の改正商法で「監査役会設置会社」と位置づけられた。ただ取締役会での議決権をもたない監査役は日本独自の制度であり、海外投資家などからは、監査役会の権限がわかりにくく経営トップへの影響力も小さく、企業統治の機能としては脆弱(ぜいじゃく)であるなどと指摘されている。
会社法によって監査役会の設置が義務づけられた資本金5億円以上または負債額200億円以上の株式会社のほか、設置義務がなくとも、定款で任意に監査役会を設置した会社が監査役会設置会社に該当する。監査役会は3人以上の監査役で構成し、このうち過半数は社外から招いた社外監査役でなければならない。監査役会は監査役のなかから常勤監査役を定めなければならない。不特定多数の株主や取引先のある上場企業においては、企業トップに経営と所有を混同させない必要があり、監査役会は取締役の経営を監督する機関としての一定の役割を果たすとされている。
日本の企業統治の形態には、監査役会設置会社のほか、2人以上の社外取締役が過半数を占める委員会が経営監視する「監査等委員会設置会社」と、取締役会のなかに指名、監査、報酬の3委員会を設けて経営を監視する「指名委員会等設置会社」の3形態がある。監視機能は監査役会設置会社がもっとも緩く、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社の順で厳しくなるとされている。日本では上場会社のうち、2017年7月時点で、監査役会設置会社が全体の約75%を占めている。
[矢野 武 2018年9月19日]
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