社外取締役(読み)シャガイトリシマリヤク(英語表記)outside director

翻訳|outside director

デジタル大辞泉 「社外取締役」の意味・読み・例文・類語

しゃがい‐とりしまりやく〔シヤグワイ‐〕【社外取締役】

社内からではなく、会社とは利害関係のない、外部から選任された取締役。会社の事業活動には関与せず、客観的な立場で経営を監視・監督し、専門的見地から助言を行う。→独立社外取締役非業務執行取締役
[補説]現在および過去に、その会社やグループ会社で勤務した経験がないことが要件。会社法に規定。経営経験者・弁護士公認会計士・学者などが選任されることが多い。

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共同通信ニュース用語解説 「社外取締役」の解説

社外取締役

他の企業の経営者や学者、弁護士など社外から選任される取締役。第三者の立場から経営を監視して成長を後押ししたり、不祥事を防いだりする役割が期待される。政府などが近年、海外からの投資を呼び込もうと導入を促進しており、設置が広がってきた。社外取締役の中でも、その会社の主要な取引先ではないなどの条件を満たす場合を東京証券取引所は「独立社外取締役」と位置付け、2人以上の選任を促している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「社外取締役」の意味・わかりやすい解説

社外取締役
しゃがいとりしまりやく
outside director

その企業と取引や資本関係のない、社外から迎える取締役のこと。社内のしがらみや利害関係にとらわれず、外部の目によるチェックで経営の透明性を高め、不祥事をなくし、企業統治コーポレートガバナンス)を強化する目的で設置される。株主の代表として経営陣を監督し、企業の収益性や国際競争力を高める効果もあるとされる。日本では会社法(平成17年法律第86号)第2条15項で定義しており、かつては、過去から現在にわたってその企業で役員や社員として働いた経験のない取締役であったが、2015年(平成27)から、現在および過去10年間その企業で役員(監査役会計参与などを除く)や社員として働いた経験のない取締役に定義が変わった。その企業の役員や社員のほか、株式の50%超を保有する経営支配者、親・兄弟会社の役員や社員、役員や社員の配偶者や2親等以内の親族らも、社外取締役にはなれないと規定している。おもに取締役会のある日だけ出社する非常勤取締役である。ほかの企業の社長・会長経験者のほか、弁護士、税理士大学教授などの専門家を登用するケースが多い。社外取締役のうち、その企業とまったく関係ない人を独立社外取締役とよぶ。日本では非上場を含め、大企業の社外取締役設置が義務化されており、取締役会のなかに指名・監査・報酬の各委員会を設ける指名委員会等設置会社は委員の過半を社外取締役としなければならない。

 海外ではアメリカ、イギリス、中国、韓国などで社外取締役の選任が義務化されており、アメリカでは取締役の過半が社外取締役である。日本では社外取締役制度の導入が遅れていたが、2003年の改正商法施行で導入された。その後2021年(令和3)の改正会社法施行で、(1)監査役会を置き、株式の譲渡制限がない、(2)資本金が5億円以上、または負債総額200億円以上、(3)証券証券報告書の提出義務がある、の3条件を満たす企業は社外取締役の設置が義務化され、事実上、大企業での設置が義務化された。東京証券取引所の調査では、ほぼすべての上場企業が社外取締役制度を導入済み。社外取締役に対しては、導入していたアメリカのエネルギー大手エンロン社が不祥事で破綻(はたん)したように、制度の形式ばかりを整えても、生え抜きの経営陣が社外取締役の意見に耳を傾けねば意味がないとの指摘もある。

[矢野 武 2021年9月17日]

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百科事典マイペディア 「社外取締役」の意味・わかりやすい解説

社外取締役【しゃがいとりしまりやく】

取締役会の監督機能を強化するために商法改正(2001年と2002年)で導入された制度。会社の業務執行をせず,その就任前に会社またはその子会社の業務を執行する取締役執行役もしくは支配人その他の使用人ではなかった者と定義される(会社法2条15号)。委員会設置会社においては,各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならない。人材の確保のため,社外取締役の損害賠償責任については,責任の減免等で一般の取締役とは異なる取扱いが認められている。

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知恵蔵 「社外取締役」の解説

社外取締役

内部昇格した常勤の取締役に対し、これらの取締役の業務執行を外部の視点から、社内のしがらみや利害関係に縛られず監督できるのが社外取締役。米国では取締役の半数以上が社外取締役で占められ、株主の利益という視点で監督に当たっている。日本でも経営不祥事が続くなか、経営の透明性、株主重視の経営の必要性が高まり、社外取締役の導入が広がっていった。一連の経営改革が米国型企業統治モデルに向かうことも手伝って、社外取締役の導入は拡大する傾向にあるが、米国と比べ社外取締役の占める割合の圧倒的な低さ、社外取締役としての人材不足や、代表取締役の友人など個人的関係からの抜擢など、本来の意図からかけ離れた社外取締役の活用などが危惧される面もある。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「社外取締役」の解説

社外取締役

ある企業の取締役会の監督機能強化を目的として、会社の最高権限者である代表取締役などと直接の利害関係のない、独立した有識者や経営者などから選任する取締役のこと。その会社の業務を執行せず、過去において、その会社または子会社の業務を執行する取締役のほか、執行役または支配人、その他の使用人でない取締役を言う。社外の取締役を採用することにより、執行と監督の機能を分離、独立性と透明性の高い監視機能が持てるとされる。また、同じ企業内の慣習等に縛られない、新たな発想や理念を取り入れるための、ある種の起爆剤として社外取締役を導入する企業も増えている。

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会計用語キーワード辞典 「社外取締役」の解説

社外取締役

株式会社の取締役であり、当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人ではなく、かつ、過去に当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことのないものをいいます。

出典 (株)シクミカ:運営「会計用語キーワード辞典」会計用語キーワード辞典について 情報

人事労務用語辞典 「社外取締役」の解説

社外取締役

取引や資本関係のない社外から迎える取締役のことです。その会社の業務執行には従事せず、一般株主の視点も踏まえて経営を監視することが求められます。
(2005/4/18掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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