他の企業の経営者や学者、弁護士など社外から選任される取締役。第三者の立場から経営を監視して成長を後押ししたり、不祥事を防いだりする役割が期待される。政府などが近年、海外からの投資を呼び込もうと導入を促進しており、設置が広がってきた。社外取締役の中でも、その会社の主要な取引先ではないなどの条件を満たす場合を東京証券取引所は「独立社外取締役」と位置付け、2人以上の選任を促している。
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その企業と取引や資本関係のない、社外から迎える取締役のこと。社内のしがらみや利害関係にとらわれず、外部の目によるチェックで経営の透明性を高め、不祥事をなくし、企業統治(コーポレートガバナンス)を強化する目的で設置される。株主の代表として経営陣を監督し、企業の収益性や国際競争力を高める効果もあるとされる。日本では会社法(平成17年法律第86号)第2条15項で定義しており、かつては、過去から現在にわたってその企業で役員や社員として働いた経験のない取締役であったが、2015年(平成27)から、現在および過去10年間その企業で役員(監査役、会計参与などを除く)や社員として働いた経験のない取締役に定義が変わった。その企業の役員や社員のほか、株式の50%超を保有する経営支配者、親・兄弟会社の役員や社員、役員や社員の配偶者や2親等以内の親族らも、社外取締役にはなれないと規定している。おもに取締役会のある日だけ出社する非常勤取締役である。ほかの企業の社長・会長経験者のほか、弁護士、税理士、大学教授などの専門家を登用するケースが多い。社外取締役のうち、その企業とまったく関係ない人を独立社外取締役とよぶ。日本では非上場を含め、大企業の社外取締役設置が義務化されており、取締役会のなかに指名・監査・報酬の各委員会を設ける指名委員会等設置会社は委員の過半を社外取締役としなければならない。
海外ではアメリカ、イギリス、中国、韓国などで社外取締役の選任が義務化されており、アメリカでは取締役の過半が社外取締役である。日本では社外取締役制度の導入が遅れていたが、2003年の改正商法施行で導入された。その後2021年(令和3)の改正会社法施行で、(1)監査役会を置き、株式の譲渡制限がない、(2)資本金が5億円以上、または負債総額200億円以上、(3)証券証券報告書の提出義務がある、の3条件を満たす企業は社外取締役の設置が義務化され、事実上、大企業での設置が義務化された。東京証券取引所の調査では、ほぼすべての上場企業が社外取締役制度を導入済み。社外取締役に対しては、導入していたアメリカのエネルギー大手エンロン社が不祥事で破綻(はたん)したように、制度の形式ばかりを整えても、生え抜きの経営陣が社外取締役の意見に耳を傾けねば意味がないとの指摘もある。
[矢野 武 2021年9月17日]
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(高橋宏幸 中央大学教授 / 2007年)
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